森の駅yodge(福島県玉川村)正賞 第38回県建築文化賞

2022/12/28 09:20

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県建築文化賞の正賞に輝いた「たまかわ観光交流施設 森の駅yodge」。廃校となった木造校舎を宿泊施設を核とした観光交流施設に再生し、地域に密着した拠点となる可能性を示したことなどが高く評価された(上は外観、下は内観)
県建築文化賞の正賞に輝いた「たまかわ観光交流施設 森の駅yodge」。廃校となった木造校舎を宿泊施設を核とした観光交流施設に再生し、地域に密着した拠点となる可能性を示したことなどが高く評価された(上は外観、下は内観)

 環境に調和し、景観上優れた建築物をたたえる第38回福島県建築文化賞の正賞に玉川村の「たまかわ観光交流施設 森の駅yodge(ヨッジ)」が輝いた。廃校となった木造校舎を再生し、地域に密着した交流拠点となる可能性を示した点が高く評価された。準賞1点、優秀賞3点、特別部門賞3点、復興賞3点の入賞計11点が決まった。福島民報社、県、県建設業協会、県建築士会の主催。表彰式は来年1月27日午前11時から、福島市の杉妻会館で行われる。

 正賞に選ばれたyodgeは、首都圏からの観光誘客による交流人口の増加に向け、山間部にある木造校舎を宿泊施設が核となる観光交流施設として再生した。内部は既存の梁(はり)などを生かし、ダイナミックなボリュームを持つ良質な空間となった。屋根上テラスや屋根裏ライブラリー、キャンプスペース、たき火スペース、案内板に至るまで利用者を楽しませる工夫が凝らされている。

 必要な機能を取り入れつつ、地域住民の記憶に残る校舎の面影を残し、新しさと懐かしさを融合。住民や卒業生らとのワークショップの成果をデザインに反映させた。県内外からの観光客だけでなく、住民の日常的な交流の場として、地域に密着した交流施設となる可能性を示している。

 玉川村が建築主となり、「旧四辻分校改修等設計 都市環境研究所・SO&CO.(ソーアンドコー)共同企業体」が設計を手掛けた。荒牧建設が施工した。鉄骨造りの一部木造で床面積は502平方㍍。住所は玉川村四辻新田字村中131。

 県建築文化賞は東日本大震災と東京電力福島第1原発事故のため2年間中断し、2013(平成25)年度に再開した。今回は2015年4月から2021年3月末までに完成し、1年以上使用されている建築物を対象とした。

 公共建築物28件、民間建築物25件の計53件の応募があった。用途別では福祉・医療施設が15件で最も多く、次いで庁舎・事務所が9件、商業施設が8件、学校・教育施設、文化・スポーツ施設が各6件、複合施設が4件、建築物群が2件、観光・宿泊施設、共同住宅、工場が各1件。地域別では中通り28件、浜通り19件、会津6件だった。

 建築家の渡部和生審査委員長ら審査員7人が街並みとの調和や自然景観の活用などの観点から書類、現地、最終の3審査で各賞を決めた。

 表彰式でyodgeの建築主らに、日本芸術院会員で日展顧問を務めた彫刻家・故三坂耿一郎(こういちろう)氏(郡山市出身)制作のブロンズレリーフが福島民報社から贈られる。