論説

【野球殿堂入り】栄冠さらに輝かせよう(1月14日)

2023/01/14 09:05

  • Facebookで共有
  • Twitterで共有

 福島市が生んだ作曲家古関裕而さんの野球殿堂入りが決まった。木幡浩市長が会長を務める「古関裕而氏の野球殿堂入りを実現する会」を中心とした功績を広める活動が、4年余にして結実した。古関さんの野球に対する貢献をたたえ、殿堂入りをどう生かしていくかを共に考えたい。

 古関さんは全国高校野球選手権大会歌の「栄冠は君に輝く」の他、大学野球では早稲田、慶応、明治、中央、日本の各大学の応援歌、プロ野球では巨人、阪神、中日の歌など多くの作曲を手がけた。いずれも、懸命に戦う選手を力強く後押しするメロディーが印象的だ。受賞者の紹介には「音楽を通して野球を盛り上げた」とあり、多くの野球ファンに親しまれている点が評価されたとみられる。

 特別表彰は10人が候補となっていた。有効投票は13票だったため、75%以上に当たる10票が殿堂入りの条件だった。古関さんが初めて候補となったのは2011(平成23)年だった。その後、3年前は2票、2年前は5票、昨年は8票と、年々、票を積み上げ、今回は10票を獲得した。

 とはいえ、これまでの道のりは険しいものがあった。候補者として選ばれているのは、プロ野球審判や高校や大学の指導者、評論家、野球史研究家など、直接、野球と関わりながら実績を残してきた有名人ばかり。古関さんのように本人が野球とほとんど縁のない候補者は極めて異例の存在だった。

 さらに、受賞者の多くは、何年も候補者として挙がった上で、受賞にたどり着くケースが多い。こうした状況を踏まえ、関係者は地道で粘り強い活動を展開してきた。活動の軸となっている実現する会は講演会の開催や、フェイスブックやツイッターなどの交流サイト(SNS)を使っての若い層への浸透など、手がけた曲やエピソードをきめ細かく発信してきた。

 大きな目標を達成したが、この空気を大切にしながら、次の展開につなげていくことも重要だろう。福島市は古関さんにちなみ次代を担う才能を発掘する作曲コンクールを昨年創設した。妻金子さんが生まれた愛知県豊橋市とのパートナーシティ協定を来月締結するなど、古関さんを生かした関連事業を次々と打ち出している。

 野球殿堂入りという今回の「栄冠」は、あまり知られていなかった古関さんの新たな一面が照らされたといえる。これを契機に、さらに幅広い分野に光を当て、古関さんと共に、古里の福島市を輝かせていきたい。(安斎康史)