【古関裕而さん野球殿堂入り つなぐ応援歌(下)】地域再生のエールに 福島市、交流人口増目指す 野球大会や協定締結へ

2023/01/16 09:30

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関さんの楽曲を流しながら市内を循環しているメロディーバス
関さんの楽曲を流しながら市内を循環しているメロディーバス

 福島市出身の作曲家古関裕而さんの野球殿堂入りを機に、福島市は古関さんにちなんだ野球大会などを通して地域をさらに活性化させ、交流人口を増やしていく方針だ。「殿堂入りの追い風をコロナ禍後の地域再生のエールに変えたい」。古関さんの功績を広める活動に励んできた「古関裕而氏の野球殿堂入りを実現する会」の会長を務める木幡浩市長は未来図を描く。

 市は東京五輪の野球・ソフトボール競技が行われた県営あづま球場で、古関メロディーに彩られた野球大会の開催を検討している。古関さんが応援歌を手がけたプロ野球の巨人や阪神、東京六大学野球の早稲田大、慶応大のOBや関係者らを招き、試合の合間などに「紺碧の空」「我ぞ覇者」「六甲おろし」「闘魂こめて」など野球ファンおなじみの曲を流す考え。木幡市長は「球場に足を運んだ人たちが気軽に歌うことができる空間を演出したい」と意気込む。

 市はこれまでも、誰もが一度は耳にしたことのある多くの名曲を生み出した作曲家の功績を県内外に発信し、交流人口の増加につなげようと取り組んできた。市内のJR福島駅の発車メロディーを「栄冠は君に輝く」や「高原列車は行く」に変更したほか、古関さんの楽曲を流して市内を循環するメロディーバスを運行。古関裕而の名を冠した作曲コンクールも創設し、「古関裕而のまち・福島市」の浸透を図っている。

 古関さんと妻金子さんをモデルとしたNHK連続テレビ小説「エール」放送を機に、金子さんの出身地の愛知県豊橋市とは、豊橋市の手筒花火を福島市花火大会で披露したり、福島わらじまつりの大わらじが豊橋まつりに参加するなどの交流活動を繰り広げてきた。2月9日には新たにパートナーシティ協定を結び、文化、産業、教育、防災など、さまざまな分野で連携を強めていく。

 豊橋市の豊橋観光コンベンション協会の豊田達也事務局長(65)は「古関さんと金子さんのラブストーリーが90年余の時を経ても、多くの人に影響を与えていることが感慨深い。野球殿堂入りで再注目されるのを強みとし、両市の発展につなげたい」と期待する。同協会や市とともにドラマの誘致活動に励んだ、福島商工会議所青年部の野地利彦会長(46)は「イベントの開催にとどまらず、経済面での相互交流も深めていきたい」と話した。