新潟・福島豪雨からの復旧気遣う 天皇、皇后両陛下 福島県三島町の高齢者とオンライン交流

2023/01/26 10:20

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桐寿苑の入所者らとオンラインで交流される天皇、皇后両陛下(代表撮影)
桐寿苑の入所者らとオンラインで交流される天皇、皇后両陛下(代表撮影)

 天皇、皇后両陛下は25日、住まいの皇居・御所で、福島県三島町の特別養護老人ホーム桐寿苑の入所者らとオンラインで交流された。雪国ならではの道具を使った認知症予防の実践などを見守りながら、県内で最も高齢化が進んでいる奥会津地域での暮らしや、2011(平成23)年7月の新潟・福島豪雨からの復旧を気遣い、一人一人に温かい言葉を贈った。

 桐寿苑は県立博物館の協力で、入所者が若い頃に触れた民具を使い、懐かしい記憶を思い出すことで認知症の予防につなげる「回想法」を実践している。両陛下は中丸一雄さん(83)ら入所者3人が、かんじきや雪踏み俵など豪雪地域ならではの道具を囲んで語り合う様子を見守った。

 中丸さんによると、道具について「それは誰が作ったのですか」「今日の寒さはどうですか」などと質問されたという。中丸さんは「お体に気をつけてお過ごしください」と言葉をかけられたとし、「国民のために目を向けていただき、とても心強く感じた」とほほ笑んだ。

 両陛下に回想法を説明した県立博物館主任学芸員の山口拡さん(41)は「『非常に興味深く、意義のあることですね』という言葉を励みに活動を続けていきたい」と誓った。

 両陛下は新潟・福島豪雨で被災した入所者にも寄り添われた。女性が只見川近くの自宅が浸水し、避難したと伝えると、「ご家族に被害はなかったのですか」と心配した様子で尋ねたという。施設を運営する社会福祉法人みしま理事長の秦千代栄さん(56)は豪雨被害で寸断されたJR只見線について「再開通して喜んでいると伝えると『良かったですね』というお言葉があった」と振り返った。

 県庁からオンラインで臨んだ内堀雅雄知事は、1時間の予定だった交流時間が1時間45分ほどに及んだとし、「それぞれの場面で丁寧にお声掛けされていた」と印象を語った。

 両陛下によるオンラインでの県内視察は2021(令和3)年4月、大熊、双葉両町の東日本大震災と東京電力福島第1原発事故の被災者を見舞って以来、3度目となった。今回は9月の敬老の日にちなんだ視察で、英国のエリザベス女王の国葬参列などに伴い日程を延期していた。