


福島県郡山市中田町と白河市小田川で8日昼に相次いだ山林火災は、9日も地元消防に加えて各県の防災ヘリなどを投入して消火活動が続いたが、夜までに鎮火に至らなかった。人的被害はなく、近隣への避難指示などは出ていないが、周辺住民からは早期の鎮火を願う声が上がっている。
郡山市中田町中津川字城ノ内の火災は8日午前11時35分ごろに起きた。9日は消防車両24台、消防署員と消防団員約180人が出動し、福島、宮城、新潟、栃木、群馬各県と陸上自衛隊のヘリコプター計7機が空から散水した。日没のため、午後5時30分で中断した。
郡山地方広域消防本部によると、午後5時15分時点の焼失面積は21・6ヘクタール。火の勢いは次第に弱まっているものの、煙が上り続けているという。
現場近くに住む佐藤光正さん(88)は「家の近くまで燃え広がらないかと考えると怖い。天気予報で10日は雨と聞いたので、早く鎮火してほしい」と話した。市は近隣に避難指示を出すかは延焼状況に応じて判断するとしている。
8日午後0時35分ごろに白河市小田川番倉の山林で発生した火災は9日も燃え続けた。
白河地方広域消防本部によると、消防車両や陸上自衛隊ヘリ2機などが放水などを続け、小康状態に近づいたという。日没に伴い、午後5時30分ごろ、活動を休止した。白河市は現時点で避難勧告などを出す予定はないという。
大信地域に住み、消防団員として消火活動に加わる大須賀弘樹さん(38)は「これほど長時間、消えない火災は経験がない。一刻も早く消えてほしい」と話した。10日朝から消火活動を再開する。
■県が注意喚起
相次ぐ山林火災を受け、県は火の扱いに関する注意喚起を強めている。県災害対策課によると、3~5月は空気が乾燥して火災が起きやすい。たき火などは極力避け、火を使う場合も備えを万全にし、消火を確認して現場を離れるよう呼びかけている。
森林から1キロ以内の田畑で火を使う場合は市町村や消防に届け出るよう求めている。
国土交通省は9日から郡山、白河両市の火災現場周辺を緊急用務空域に指定した。域内では当面、ドローンなど無人航空機の飛行が原則禁止される。