福島県連盟結成へ高まるビート 高校生の軽音楽文化盛り上げ 学校の枠超え交流促進

2023/05/14 10:00

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部活動で生徒に指導する筒井さん(右端)。軽音楽文化を盛り上げたいと意気込む
部活動で生徒に指導する筒井さん(右端)。軽音楽文化を盛り上げたいと意気込む

 部活動や同好会でバンド活動に打ち込む高校生を支え、軽音楽文化を盛り上げよう―。帝京安積(福島県郡山市)をはじめ県内6校は県高校軽音楽連盟の結成に向け動き出した。学校の枠を超えた交流や大会の開催を通して生徒が切磋琢磨(せっさたくま)できる環境をつくるとともに、活動への理解を広げる取り組みを進める。設立委員会が組織の在り方を検討しており、各校の顧問らは「福島に軽音楽を広く根付かせたい」と意気込んでいる。


 帝京安積の教諭で軽音楽部顧問の筒井祐哉さんが中心となって連盟の設立を呼びかけ、部や同好会のある学法福島(福島市)、安積(郡山市)、郡山萌世(同)、磐城緑蔭中・高(いわき市)、須賀川桐陽(須賀川市)が呼応した。

 連盟による県大会の開催を一番の目標に掲げる。生徒の技術向上を促し、学校間の交流を深める機会とする。軽音楽活動への認知度を高め、同好会などから部活への昇格を後押しする狙いもある。学校から楽器やアンプなどをそろえるための補助や理解を得られる環境を実現させる考えだ。音楽関係の民間企業などにも講習会の開催などへの協力を呼びかける方向で検討する。

 「文化部のインターハイ」と呼ばれる全国高校総合文化祭(全国総文)には軽音楽部門があるが、福島県は現在、連盟が存在しないため県予選を開けず出場がかなわない状況でもある。連盟設立後は全国高校軽音楽連盟に加盟し、県予選の開催要件を満たす方針。同連盟が主催する大会への出場も視野に入れ、生徒が全国の舞台を目指せるようにする。

 帝京安積の軽音楽部副部長でギターの中村健さん(3年)は「大会があれば、明確な目標ができる。軽音楽の魅力も多くの人に知ってもらえる」と期待する。

 一方で、バンド活動は楽器の音量が大きくなりがちで、校内での活動が敬遠されるケースがある。指導者や生徒向けの講習を実施し、楽器をアンプにつながずに演奏するなど小さい音で効果的に練習できる方法を指導する。

 設立委員会では各校の顧問が運営の手法などを協議している。ヤマハミュージックジャパンの協力を得て演奏技術の講習会も開催した。今後は各校による合同ライブや勉強会を年に5回ほど開き、生徒たちの発表の場を設ける。

 連盟として継続的に事業を展開できることを確認した上で、2027年までに正式に発足させる計画。筒井さんは「楽都郡山の学校が先導し、軽音楽の魅力を発信したい」と強調する。軽音楽部の存在が当たり前となる時代をつくる決意だ。