地球を照らす光(5月24日)

2023/05/24 09:41

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 夏の夜を彩る光が乱舞する。そんな古里を目指す喜多方市のホタル夢づくりの会は市民向けの学校を開設し、今年の活動を本格化させた。水環境など自然を学ぶ場にもなる▼取り組みは20年以上に及ぶ。幼虫の飼育棟を建て、水路の浄化に努めてきた。学校は2003(平成15)年に開講した。市民が座学や体験を通じて、児童と一緒に生態や住みよい条件に理解を深める下地を整える。昨年は過去最多の70人が登録した。観察会では、暗がりに浮かび上がる淡い光にため息が漏れた▼住宅地や河川の護岸工事が各地で進む。幼虫が餌とするカワニナは、きれいな水を求めて、すみかを変える。それに応じて、ホタルが育つ場所も移りゆく。市内は昨年、大きな水害に見舞われた。この先、深刻な変化が起きるのではないか―。夢づくりの会関係者は気をもむ。幻想的な真夏の舞いは自然界の微妙なバランスの上に成り立っている。人間界への無言の戒めと受け止めたい▼うれしい芽生えがある。若い両親の参加が増えてきた。子どもの手を取り、はしゃぎ合う光景が川辺に広がる。ホタルは人知れず親子と地域の前途も照らしてくれている。ほのかに、そっと。<2023・5・24>