福島県矢祭町の町民生児童委員協議会は4月から、不要になった学生服などを再使用する「制服リユースプロジェクト」を開始した。卒業などで不要となった制服や小中学校の体操着などを希望者に無償で提供する。家計の負担軽減につながるとともに、国連の持続可能な開発目標(SDGs)の取り組みとして注目される。
対象物品は中学校と高校の制服、小中学校の体操着、ランドセル、習字セット、裁縫セット、柔道着など学校で使う物品なら何でも受け付けている。ただ、人に譲れる状態の物品としている。窓口は町社会福祉協議会が担っている。町民限定で譲渡した人は直接、同協議会に物品を持参するか、日時や受取場所を指定した上で同協議会の職員が取りに行く。
主任児童委員が中学校で活動している際に、制服がすれていたり、ボタンが取れていたりする生徒を目にすることが多かったという。制服や学校で使用する物品は高価で、使用する期間も短い。また、ロシアのウクライナ侵攻に伴う物価高騰も重なり、新しく買い換えることを控える家庭も少なくないという。そのためリユース品を集めることで一定の需要があると判断し、プロジェクトをスタートさせた。
学校とも連携し、学校で予備が必要となる裁縫セットや習字セットなどを提供する。現在、中学校の制服約10着、ランドセル約10個、柔道着約5着など徐々に集まってきている。町社会福祉協議会によると、制服は形が変わっていないため、きれいに管理されていれば10年前の制服でも再使用できるという。今後は集まった物品をホームページで周知するほか、12月ごろに、中学校に入学する生徒を対象とした譲渡会を開催する予定。
この他にも子ども服の引き取りも行っている。家庭に眠っている子ども服や靴、帽子、バッグなども集めている。4月22日には町内の山村開発センターで「こども服リユース広場」を初開催し、町内外から多くの家族連れが訪れた。
町社会福祉協議会の深谷義弘さんは「捨てるのではなく、きれいに使ってリユースする循環が町内外で広がればうれしい」と話している。