

明治学院大(東京都港区白金台)の正門前にある大イチョウが、倒木の危険性があるとして15日から17日にかけて伐採される。幕末の会津藩出身で明治学院第2代総理を務めた井深梶之助(1854〈嘉永7〉~1940〈昭和15〉年)が残したシンボルツリーで、学生から惜しむ声が上がっている。
大イチョウは樹高18・5メートル、幹回り4・2メートルで、正門前の公道にある。明治学院大によると、元は明治学院の敷地にあったが、1921(大正10)年に当時の東京市が道路拡幅のため大イチョウの立つ土地の提供を明治学院に申し出た。学院の最高責任者である総理を務めていた井深は要求に従ったが、大イチョウについては「町の風致のため伐採しない」との約束を取り付けた。以来、関東大震災や戦災を経て立ち続け、学生を見守ってきた。
大イチョウを管理する東京都港区は定期的に樹木医による診断を続けてきた。今年の検査で空洞率が伐採する基準の50%を大幅に上回る71・9%となり、台風シーズン前の対応を決めた。港区から通知を受けた明治学院大がホームページや交流サイト(SNS)で伐採を公表したところ、一部の学生は「ありがとう」「忘れない」などのメッセージを記した折り鶴を木に掲げた。明治学院大の広報担当者は「長年にわたり、多くの学生、卒業生、教職員を見守ってくれた大イチョウに深く感謝したい」としている。