
24日の東京電力福島第1原発の処理水海洋放出後、報道陣の取材に応じた小早川智明東電社長は、放出作業を「日程ありき」で進めず、安全確保に万全を期しながら実行する姿勢を強調した。
―ミスや想定外の事態を防ぐための具体策は。
「1番大きなトラブルは(処理水が)希釈されていない状態で放出されることだ。何か気になる点があれば立ち止まることが重要で、スケジュールが決まっているからどんどん進めるのではなく、しっかりと安心できるように進める」
―懸念される風評にはどう立ち向かうか。
「風評が起こらないようにすることが何よりも大切だ。水産物だけでなく、農産物や畜産物を含め、おいしく、安全であることをしっかりと消費者に訴える。我々も販路拡大に取り組み、風評に打ち勝つ。賠償ありきではない」
―県漁連と交わした「関係者の理解なしに(処理水の)いかなる処分も行わない」との約束は守られたと考えているか。
「国と我々は一枚岩で作業を進めている。さまざまな方の理解を得るための活動は廃炉が終わるまで続き、廃炉が終わった時に初めて結論が出るものだと感じている」
―中国政府が日本産水産物の輸入を全面禁止すると発表した。これに関連する被害にも賠償するか。
「外国政府からの禁輸措置によって国内事業者の輸出に被害が発生した場合は適切に賠償する。中国は日本にとって非常に重要な貿易相手先なので、早期に撤回されるように我々としても尽くしたい」