東日本大震災・原発事故

処理水の初回放出完了 福島第1原発 トリチウム濃度異常なし、東京電力「計画通り安全に」

2023/09/12 10:07

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 東京電力は11日、福島第1原発処理水の海洋放出で、初回分として計画していた約7800トンの放出を完了したと発表した。国や東電、福島県が測定している原発周辺の海水などに含まれる放射性物質トリチウムの濃度に異常は確認されていない。東電は「計画通り安全に放出できた」としている。

 東電によると、初回は1日当たり約460トンの処理水を流し、8月24日の放出開始から19日間で計7788トンを流した。設備に大きなトラブルはなかった。10日に放出を終え、11日に配管内に残った処理水をろ過水で押し流した。東電は12日から約3週間かけて設備点検などを行う予定。今月下旬にも2回目の放出を始め、初回と同じ約7800トンの処理水を放出する。

 東電の計画では、多核種除去設備(ALPS)で浄化できないトリチウムを国の基準の40分の1(1リットル当たり1500ベクレル)未満に海水で薄め、海底トンネルを通じて原発の沖約1キロで放出する。今年度は約3万1200トンを4回に分けて放出する。

 国や東電、県は原発周辺の海域モニタリング(監視)を継続している。東電は11日、約3キロ圏内の10地点で10日に採取した海水のトリチウム濃度はいずれも検出下限値(1リットル当たり10ベクレル程度)未満だったと発表した。

 内堀雅雄知事は11日の定例記者会見で「正確で分かりやすい情報発信に取り組み、想定外の事態が生じないよう、油断せずに万全の対策を講じてほしい」と国と東電に求めた。