情報通信技術(ICT)は、地域経済の活性化や大規模災害への対応など、さまざまな分野で住民生活に欠かせなくなっている。活用の動きは今後、一層活発になる見込みだ。福島民報社は、東北と新潟県の有力紙8社共同で、「スマート社会へ~地域を創る新しい力~」をテーマに、それぞれの地域が抱える課題の解決にICTを生かす取り組みを8回にわたって紹介する。
スマート社会へ ~地域を創る新しい力~
[東北・新潟8新聞社共同企画]
福島民報社、東奥日報社、岩手日報社、秋田魁新報社、
河北新報社、山形新聞社、福島民友新聞社、新潟日報社
公共交通の利便性向上 (福島県会津若松市)AIでルート計算

会津若松市で情報通信技術(ICT)を活用し、鉄道やバス、タクシーなどの利用者の利便性を高めるプロジェクトが進む。公共交通機関の利用をより円滑にする各種アプリを開発し、実証実験を通して実用化を目指している。同市は東北地方屈指の観光地であり、市外の交通機関との連携もできれば、来訪者増につながると期待される。
環境制御システム (岩手県盛岡市)トマトを通年収穫

情報通信技術(ICT)が、岩手県の農業の可能性を引き出している。トマト生産の盛岡市猪去(いさり)のいわて若江農園はコンピューター制御で最適な生育環境をつくり、通年収穫を実現。年間収量は県平均の約六倍に達した。先端技術で生産性を高める試みが広がりつつある。
ごみ収集アプリ (青森県八戸市)日にちと種類通知

青森県は一人一日当たりのごみ排出量が全国で三番目に多く、ごみのリサイクル率は全国最下位=共に二〇一四(平成二十六)年度=。二〇一六年、同県八戸市のIT企業「アイティコワーク」取締役の岡本信也さん(42)は、身近な環境を特集した県広報誌の記事に衝撃を受けた。これをきっかけに、家庭のごみ出しをスマートフォンで手助けする「ごみ収集アプリ」を開発。青森県内で採用する自治体が徐々に広まっている。
農業の担い手育成 (宮城県石巻市北上町)若者参入へICT

若者の就農へのハードルを下げようと、宮城県石巻市北上町の一般社団法人「イシノマキ・ファーム」は、情報通信技術(ICT)を使った担い手の育成を推進している。目指すのは、ベテラン農家の知見も加えた「デジタルとアナログを融合させた農業」の実現だ。
小ギクの生産 (秋田県男鹿市)最新鋭機で効率化

秋田県男鹿市の園芸メガ団地で、農作業の効率化を図る「スマート農業」の実証事業が行われている。若手生産者らが新技術を活用して約五十種の小ギクを栽培。作業時間は三割短縮され、需要期の安定出荷にもつながっている。
消防団参集アプリ (福島県須賀川市)情報共有を迅速化

スマートフォンなどで火災情報を共有する消防団参集アプリ「S.A.F.E(セーフ)」の導入が県内で広がっている。二〇一八(平成三十)年のアプリの完成以降、試験導入を含め県内九市町村が運用をはじめ、迅速な消火活動につなげている。今後は火災だけでなく、地震や台風にも応用される予定で、減災・防災に向けた役割に期待がかかる。
廃棄物選別ロボ (新潟県上越市)労働力不足解消へ

新潟県上越市柿崎区に本社を置く産業機器メーカーの「ウエノテックス」はAI(人工知能)搭載の廃棄物選別ロボット「URANOS(ウラノス)」を開発した。製品を生み出す「動脈産業」に対し、廃棄物を処理する「静脈産業」は機械による自動化が進まず、現場の労働力不足が大きな課題だ。最新技術の力で業界の未来を変えようとしている。
尾花沢すいか (山形県尾花沢市) 重労働の負担軽減

夏スイカの生産量で日本一を誇る山形県尾花沢市の「尾花沢すいか」。糖度が高く、みずみずしく締まっており、しゃりっとした食感は人気が高く、地域経済を支える柱の一つになっている。一方、生産者の高齢化が進み、重労働の省力化は喫緊の課題だ。
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