東日本大震災、東京電力福島第一原発事故から10年

ふくしま復興大使

~ 全ての国へ 都道府県へ ありがとう ~

 東日本大震災、東京電力福島第一原発事故が起きた翌年の2012(平成24)年から福島民報社が県民を対象に公募してきた「ふくしま復興大使」は、震災から10年となる今年、国内外に向けて新聞と動画で支援に対する感謝と復興に歩む決意を発信した。動画は大使の古里を中心に県内各地で撮影した。福島と海外、国内各地を結ぶ復興大使のメッセージを紹介する。

復興大使のメッセージ

8年で234人に委嘱

 ふくしま復興大使の派遣は、東日本大震災と東京電力福島第一原発事故が起きた翌年の2012(平成24)年、福島民報社が取り組む復興戦略事業の柱として始まった。中学生以上の県民を対象に作文による公募などで毎年選考し、2019年までの8年間に委嘱を受けた大使は234人。国内外で「福島の今」を発信するとともに、経験を自らの活動や仕事に生かしている。

フランス・パリのイベント会場で、復興へと歩む県民の思いを世界に発信した復興大使=2014年8月
金沢市の高校を訪れ、県産リンゴをPRする復興大使=2018年10月

国内外に「福島の今」発信

 復興大使は班ごとに国内外を訪れている。海外は英国に2回、米国、フランス、台湾に各1回訪問し、国内は全ての都道府県を3回以上回った。

 海外ではイベントへの参加、現地の若者や県人会との交流などを通じ、福島に対する理解を広げている。復興大使の訪問がきっかけとなり、英国・ロンドンの公園には福島庭園が整備され、本宮市の英国庭園開園にもつながった。

 国内では都道府県庁や警察本部、地方新聞社などを回り、震災後の支援に対する感謝の気持ちを伝えた。3年目以降は地域振興に成果を上げている先進地、災害を克服した地域などを中心に訪ね、古里再生に向けて学びを深めている。

 2015(平成27)年には本県を除く全都道府県の中学、高校生を「ふくしま未来応援団」として招き、交流した。仮設住宅や農家、観光地などを回った全国の生徒は地元に戻った後、学校行事や地方紙への寄稿などで本県の姿を発信した。

 復興大使派遣事業は「地方紙による情報発信の可能性を示し、復興を担う次世代を育成する活動」と評価され、2014年度の新聞協会賞(経営・業務部門)を受賞した。

 2020(令和2)年度は新型コロナウイルスの感染拡大を受け、新たな大使の募集を見送った。

奥会津の地域活動で、只見町が誇るブナの森を散策する復興大使=2018年9月

地域活動にも参加

 歴代の復興大使が協力し、県内を元気にする地域活動にも取り組んでいる。

 歴代大使が初めて顔をそろえた2016(平成28)年の「復興大使のつどい」をきっかけに、「県外訪問だけでなく、自主性を持って県内を知り、盛り上げることが大切」との意識が高まった。翌2017年、広野町を中心に双葉地方で初の地域活動を行い、大使たちは自然を生かす地域おこし、被災地の復興状況を学んだ。

 2018年には震災と同じ年の豪雨で被害を受けたJR只見線の企画列車に乗り、奥会津を訪問。豊かな地域資源に親しみ、魅力を伝える写真を県内外で展示した。

経験糧に未来開く

 委嘱当時に中学生だった復興大使が小学校教員となり、震災後の福島の歩みを子どもたちに伝えるなど、経験を生かして地域に貢献する大使は多い。

 復興に関わる仕事を志して進学した大学生、食の情報発信に力を入れる農業者…。それぞれの道で成長し、未来を切り開いている。

福島が頑張る姿 各国で伝えたい

 海外の福島県人会で構成するワールド福島県人会の満山喜郎会長(在英県人会・ロンドンしゃくなげ会長、白河市大信出身)は、ふくしま復興大使が海外と国内へ発信した感謝・決意について「世界の県人会で共有し、県民が頑張る姿を伝えていく」とのメッセージを寄せた。

満山喜郎(白河市大信出身)

ワールド福島県人会長(在英県人会・ロンドンしゃくなげ会長)

 ふくしま復興大使は活動が始まった2012(平成24)年、五輪開催中の英国・ロンドンで世界の人々に東日本大震災の経験と各国の支援に対する感謝を発信してくれました。これを機にロンドンに福島庭園ができ、2015年の開園3周年記念式典に出席した復興大使は復興に向かう福島の姿を伝えてくれました。多くの英国人が見守る中、堂々と英語でスピーチする姿がとても印象的で、元気を分けていただきました。2017年には本宮市に英国庭園ができ、姉妹庭園として交流が進んでいますね。

 復興大使は2013年に米国・ニューヨーク、2014年にフランス・パリ、2018年には台湾を訪れ、福島と世界の懸け橋になっていただいています。

 今回、復興庁事業で震災10年を機に歴代の復興大使50人から海外と国内に向けた感謝のメッセージが寄せられ、大変うれしく思います。各国にある福島県人会は古里の応援団です。皆 さんのメッセージを各県人会で共有し、世界の人々に福島が頑張っている姿を伝えていきたいと思います。

復興大使のメッセージ 新聞と動画で伝える

 ふくしま復興大使のメッセージを掲載した新聞と動画の制作は復興庁の東日本大震災発災10年復興発信事業として実施した。

 新聞は表裏の2ページフルカラーで、復興大使50人のメッセージに英訳を交え、海外の福島県人会や全都道府県などに送った。動画は約10分。10人の復興大使が古里でメッセージを発信している様子と復興へ歩む被災地の風景を収め、英訳の字幕を付けてユーチューブで発信している。海外の県人会の連絡には県国際課が協力した。

 福島民報社は動画の感想を県民から募集している。メールで受け付ける。送信先は専用アドレス fukko@fukushima-minpo.co.jpへ。

福島民報社が復興庁事業として制作し、発送した海外・国内向けの特別紙面
ユーチューブで動画配信中

 ふくしま復興大使の代表が全ての人々に動画で感謝の気持ちを伝えます。復興へ歩む福島の姿も感じてください。

復興大使のメッセージ動画
 ※画質を上げてご覧ください。