(1)放射線教育 不安払う

劇を披露する子どもたち。放射線をはじめ、健康管理について楽しみながら理解を深めている=ホイニキ地区のストレリチェヴォ中等学校

 ベラルーシを21日から27日までの日程で訪問した福島市の放射線対策先進地視察団は、チェルノブイリ原発事故から26年たった今も国を挙げて復興に取り組む現地の人たち姿を目の当たりにした。団員として参加した市民の目にはどのように映ったのか。そして、福島が学ぶべきことは何か。参加者の言葉を交えて紹介する。(本社報道部・江花 潤)
 「注意して食べなければならないのは?」
 「キノコとベリー」
 ゴメリ州内のホイニキ地区ストレリチェヴォ村の中等学校の教室には子どもたちの元気な声が響く。放射線への理解を深めてもらうため、授業で子どもが劇を披露していた。

 「楽しみながら、放射線について学ぶ工夫がなされている」。団員の市小中学校PTA連合会長の藤原聡さん(43)は子どもたちの姿に目を細めた。

 ゴメリ州はチェルノブイリ原発から北に20〜40キロ離れたベラルーシ国内の南東に位置する。原発事故で最も汚染が深刻だった地区といわれている。

 同校には現在、約180人が通学している。事故直後に一時閉鎖されたが、放射線量が下がったため、村人が徐々に戻り、事故から約10年で学校が再開された。

 現地の保護者との意見交換で、福島県内では子どもに外遊びを控えさせる傾向があると説明した福島東保育園の保育士小賀坂清子さん(42)に対し、保護者の一人は「根拠もなく全てを悲観的に見て子どもにストレスを与えるより、伸び伸び健康的に過ごさせる方が大事だ」と指摘した。

 村内では事故後、きめ細かな線量測定が継続され、数年ごとに立ち入り注意地域が見直されている。そのたびに立ち入って良い場所と、駄目な場所などを食品同様、授業を通して子どもたちに周知している。

 小賀坂さんはベラルーシでは解決すべき課題を26年間にわたって一つ一つ解決してきたのだと感じた。「福島県でも直面する課題を明確にし、一つ一つクリアしていくことが大切だと分かった」と懇談を振り返った。