人類で初めて放射能の存在に気づいたのはフランスの物理学者アンリ・ベクレル(1852~1908年)だった。ウラン塩が放つ放射線が写真乾板を感光させることを偶然、発見する。「人類に最も大きい夢をもたらした」として、キュリー夫妻と共にノーベル物理学賞を受賞した。今年で110年になる。だが、ベクレルは想像しただろうか。原発事故で拡散した放射性物質が、これほど人々を不安に陥れるとは。今なお続く放射線との戦いを追う。