テキサスA&M大と連携へ 研究室、本県設置を視野

【米国・テキサス州で丹治隆記者】浜通りをロボット研究開発の最先端地域とする「福島・国際研究産業都市(イノベーション・コースト)構想」の策定に向け、政府はロボット研究開発で世界最先端の研究機関「テキサスA&M大」(テキサス州)と連携する。同州などを訪れている赤羽一嘉経済産業副大臣ら政府視察団が15日(日本時間16日)、同大教授陣らと会談し、申し合わせた。同大は構想で示された浜通りの産学連携拠点への進出にも前向きな姿勢を見せた。
東京電力福島第一原発の廃炉作業では、作業員の立ち入りが難しい高い放射線量のエリアが多く、作業を担うロボット技術の開発が課題となっている。政府は廃炉対応のロボット技術の開発が、災害対応や除染、宇宙開発などの分野で応用できる点に着眼。ロボット研究開発を浜通り再生の新たな産業に位置付け、実証試験場となる「福島ロボットテストフィールド」の整備を検討している。
同大は同様の役割を持つ関連施設「ディザスターシティ」を所有するなど、構想の実現に向けてさまざまな面での支援が可能とみられる。また、同大は高線量下でのロボットの実証試験に関心を示しているという。
同大のロボット支援探索救助センターのロビン・マーフィー所長らは赤羽副大臣ら政府関係者に対し、構想実現を後押しするため本県に研究室を設けることに意欲を示した。政府は、既に廃炉が決定している福島第一原発5、6号機などを実証試験の場所として提供するとみられる。
赤羽副大臣は、原発事故から間もなく3年が経過する現在も約14万人もの福島県民が避難生活を送っている現状を説明し、「ロボット研究開発で福島を再生させる。そのためにも(テキサスA&M大と)連携していきたい」と提案した。
一行は同日、ロボットの実証試験が行われているディザスターシティも見学した。建物崩壊や鉄道事故、化学工場の爆発など、さまざまな災害の場面を想定した訓練施設を視察した。
同大は、東日本大震災の行方不明者の捜索や原発事故の収束作業で活用されたロボット開発や実証試験に関わるなどの実績がある。