県、独の州と覚書締結 共同開発や販路拡大 本県企業復興へ足掛かり

【ドイツ・デュッセルドルフで斎藤靖記者】県は10日午後(日本時間10日夜)、再生可能エネルギー分野で世界有数の先進地ドイツのノルトライン・ウェストファーレン(NRW)州と同分野で連携する覚書を締結した。県復興計画で重点プロジェクトに位置付ける再生可能エネルギーの推進に向け、ドイツと本県企業との共同研究やドイツへの本県企業の販路拡大、ドイツ企業による県内への発電施設建設などで国際連携体制が整った。県は同州の知見を取り入れ、県内の再生可能エネルギー関連産業の国際競争力を強化し、東日本大震災からの本格復興の足掛かりとする。
締結式はドイツ・デュッセルドルフ市の州議会議事堂で行われ、村田文雄副知事が佐藤雄平知事が署名した覚書を提出し、同州のヨハネス・レンメル環境相が覚書に署名した。
連携分野は省エネルギー、エネルギー効率、太陽光エネルギー、風力発電、バイオエネルギー、地熱発電、水素・燃料電池、エネルギー貯蔵技術、代替燃料、エネルギーマネジメントシステムの10分野。具体的な取り組みとして、エネルギー関連展示会への相互出展や企業の共同研究、同州の民間企業「エコセンターNRW」が川内村で準備している大規模太陽光発電施設(メガソーラー)の建設、浅部地中熱や太陽光発電、省エネ技術を組み合わせた「福島県版プラスエネルギー住宅」実現などを想定。ドイツ企業に対し、県内企業が施設建設や技術提供で協力することを見込んでいる。締結期間は3年。ドイツを拠点に、県は県内企業が開発した部品や設備、技術の欧州への販路拡大を図り、産業の国際化を後押しする。
郡山市に4月に開所する産業技術総合研究所(産総研)福島再生可能エネルギー研究所とも連携し、産学官の共同研究・開発の体制を強化する。太陽光発電などの実証試験設備を備える郡山市の研究所を活用すれば、世界市場に通用する研究成果が期待できる。
締結式の席上、村田副知事は「東日本大震災から3年がたとうとしているが、本県は原子力に依存しない社会の実現を目指し、再生可能エネルギーの導入促進による復興に総力を挙げて取り組んでいる。再生可能エネルギーで世界をリードする同州との連携は、本県の復興にさらに弾みをもたらす」と期待感を込めた。
レンメル環境相は「10の分野で両自治体の協力を促進し、研究機関と企業レベルでの交流を深める。将来戦略で世界的な成功を導くだけの技術とノウハウを有するのはドイツと日本。覚書により、この目標の実現に向けて大きな一歩を踏み出せる」と述べた。
県と同州の連携をめぐっては、平成24年、欧州を訪問した佐藤知事がレンメル環境相と懇談し、再生可能エネルギー分野での協力を呼び掛けていた。レンメル環境相は昨年2月に来県した際、佐藤知事との会談で連携の覚書締結に合意した。
【覚書に基づく事業内容】
▶エネルギー関連の展示会への相互出展
▶企業ビジネスセミナーの実施
▶両地域の企業間の販路拡大、共同研究
▶ノルトライン・ウェストファーレン州企業によるメガソーラー発電所建設等