独の州と医療機器連携 再生エネに続き 県、覚書締結へ

【ドイツ・デュッセルドルフで斎藤靖記者】県は、再生可能エネルギー分野で連携する覚書を締結したドイツのノルトライン・ウェストファーレン(NRW)州と、1年以内に医療機器関連産業分野でも連携の覚書を結ぶ見通しとなった。同州は世界で最も医療関連産業の集積が進んでいる地域といわれ、県内企業の先端機器開発や販路拡大につながると期待される。
同州には大学、研究機関に加え、184の医療機器関連企業が立地している。県は連携締結により、県内企業と同州の企業・研究機関との共同研究を進めたい考えで、平成27年度に完成予定の「県医療機器開発・安全性評価センター」(郡山市)の活用も視野に入れている。県内企業の欧州への販路開拓に向け、商談の機会を従来以上に設ける方針だ。
ドイツを訪問中の村田文雄副知事が10日夕(日本時間11日未明)、デュッセルドルフ市で同州経済省のカール・ウーヴェ・ビュートフ局長(産業・国際経済担当)と会談し、連携の覚書締結を打診した。これに対し、ビュートフ局長も前向きな姿勢を見せた。18日に同州のガレルト・デュン経済相が県庁を訪問し、佐藤雄平知事と締結に合意するとみられる。
村田副知事はビュートフ局長との会談で「福島県は再生可能エネルギー産業とともに、医療機器関連産業を復興のリーディング産業に位置付けている」と説明した上で、「世界的集積地であるNRW州との連携をさらに深めるため、お互いに必要な人材の確保、協力体制の構築を進める覚書の締結を目指したい」と求めた。ビュートフ局長は「再生可能エネルギー、医療機器関連産業の両分野での協力を一層深めていきたいとの見解は一致している。(締結に向けた)良好な前提条件は整っている」と答えた。
本県と同州の医療機器関連産業分野の連携をめぐっては、平成24年に佐藤知事とデュン経済相が機器開発や商談で本県との地域間交流を進めることで合意した。日本貿易振興機構(ジェトロ)は昨年、国内と海外の地域間ビジネス交流を支援する「RIT事業」に、本県と同州との連携事業を採択した。昨年11月に同州で開かれた世界最大の医療機器展示会「MEDICA」に県内企業8社が出展している。
同州の医療機器関連企業の2011(平成23)年の売上高は約8億4300万ユーロに上っている。本県の平成24年の医療関連機器生産額は約1089億円で全国4位。県は復興計画で、32年に1750億円以上に生産額を増やす目標を掲げている。