国際協力 復興けん引、世界主導 医療機器分野も強化

覚書締結式で村田副知事(右)と懇談するレンメル環境相(左から2人目)。本県との国際連携に期待感を示した

 「(再生可能エネルギー分野の)将来戦略で世界的成功を導くだけの技術を持つのは日本とドイツ」。10日に州議会議事堂で行われた県とノルトライン・ウェストファーレン州の覚書締結式でヨハネス・レンメル環境相は本県との連携に期待感を示した。フラウンホーファー研究機構のアイケ・ヴェーバーフラウンホーファー・エネルギー・アライアンス代表も12日の締結式で「再生可能エネルギーは(原発事故の)惨事から立ち直るのに役立つ」と強調。両氏からは「復興の力になりたい」との熱い思いが伝わった。
 ドイツは福島第一原発事故後、2022年末までに全17基の原子炉の稼働を止めることを決定。再生可能エネルギーの比率を2050年に80%まで高める計画を打ち出した。県も2040年に県内のエネルギー供給の100%以上を再生可能エネルギーで賄う目標を掲げ、2012年には同州との連携に合意。「脱原発」で国際協力関係を築きたいドイツと、ドイツの先進技術を学びたい本県の目標が一致し、覚書締結が実現した。
 11日から13日まで同州・エッセン市で開かれたエネルギー関連の国際見本市「イー・ワールド」には、初めて本県関係の2社が出展するなど、ドイツへの関心も高まってきた。太陽光発電や風力発電関係の事業を写真パネルで紹介した会川鉄工(いわき市)の会川文雄社長は「ドイツ企業の最新技術を吸収したい。行政の後ろ盾があるからこそ、われわれ中小企業でも海外見本市に出展できた」と連携を歓迎する。
 医療機器関連産業分野の同州との連携覚書締結に関して、18日にはガレルト・デュン経済相と佐藤雄平知事が県庁で連携強化に向けて会談する。訪独した村田文雄副知事は同州との絆の強まりを感じながら「県が復興の重点プロジェクトに位置付けた再生可能エネルギー、医療機器関連産業の両分野で連携が大きく前進した。この成果を県内企業の育成につなげなければ」と総括した。
 県は、ドイツのノルトライン・ウェストファーレン(NRW)州、フラウンホーファー研究機構とそれぞれ再生可能エネルギー分野で連携する覚書を締結した。同州とは医療機器関連産業分野でも連携を強化する見通しとなり、東日本大震災と東京電力福島第一原発事故からの復興をけん引する両分野での共同研究・経済交流が活発化する。ドイツ訪問で見えた成果と可能性、今後の課題を検証する。(郡山本社報道部副部長・斎藤靖)