県内企業底上げ課題 技術向上や人材育成 共同研究

県が再生可能エネルギー分野で覚書を締結したドイツ・ノルトライン・ウェストファーレン州。州内には太陽光発電の世界的企業など再生可能エネルギー関連の約3400社が立地し、主要産業を形成している。ドイツの企業・研究機関との共同研究を、県内企業の技術力の底上げや産業集積にどうつなげていくかが課題となる。
県と同州が連携するのは省エネルギー、エネルギー効率、太陽光エネルギー、風力発電、バイオエネルギー、地熱発電、水素・燃料電池、エネルギー貯蔵技術、代替燃料、エネルギーマネジメントシステムの10分野。企業同士が共に研究するほか、同州の民間企業が川内村で計画している大規模太陽光発電施設(メガソーラー)の建設を支援する。浅部地中熱や太陽光発電などを組み合わせた「県版プラスエネルギー住宅」の実現にも協力する。
覚書締結で世界最先端の技術を持つフラウンホーファー研究機構と県内企業とのつながりもできた。県は、4月に郡山市に開所する産業技術総合研究所(産総研)福島再生可能エネルギー研究所とも手を携え、産学官の共同研究・開発の体制を強化する。
同州エッセン市で開かれたエネルギー関連国際見本市「イー・ワールド」に初めて出展した「クニミネ工業いわき研究所」(いわき市)の黒坂恵一所長は「ドイツや産総研の知見を製品開発に生かしたい」と積極的な姿勢を示す。
県はドイツの企業・研究機関との橋渡し役を務めながら、県内企業の技術力向上や人材育成を図る。村田文雄副知事は「もともと県内企業はものづくりで国内トップクラスの技術力がある。その技術力を再生可能エネルギー分野でも生かしてほしい」と新規参入に期待している。