販路拡大 海外へのアピール鍵 企業の技術、知名度

見本市会場で本県関係企業の出展コーナーを視察する村田副知事(左)。今後の継続出展が重要だ

 再生可能エネルギー、医療機器関連産業の両分野で、県とドイツ・ノルトライン・ウェストファーレン州が連携を強化したことで、ドイツを拠点に欧州への県内製品の販路拡大の可能性が高まった。県内企業の技術力と知名度を高め、いかに効果的に海外にアピールできるかが鍵を握っている。
 11日から13日まで同州エッセン市で開かれたエネルギー関連国際見本市「イー・ワールド」。本県から初めて出展した2社が太陽光発電関連などの技術を紹介した。「覚書で自治体の後ろ盾ができ、ドイツで福島県企業の信用が高まるだろう。今後の継続出展が重要だ」。出展を支援した日本貿易振興機構(ジェトロ)デュッセルドルフ事務所の植田大所長は指摘する。
 医療機器では既に「メード・イン福島」製品がドイツで活躍している。同州のベルクマンスハイル大学病院には、県ハイテクプラザで開発に取り組むサイバーダイン社(本社・茨城県つくば市)の治療・リハビリ用ロボットスーツが導入され、患者の運動機能回復に効果を挙げている。現地で臨床試験を重ね、EUの医療機器認証を取得した同社の積極的な取り組みは、県内企業の参考になる。
 県内で両分野を担うのは中小企業が中心となるため、技術力と知名度アップには産業集積が不可欠だ。郡山市では、4月に産業技術総合研究所福島再生可能エネルギー研究所が開所するほか、県医療機器開発・安全性評価センター(仮称)が平成27年度完成を目指す。県が連携するフラウンホーファー研究機構の太陽エネルギーシステム研究所があるフライブルク市では、30年ほど前に研究所が立地して以降、関連企業の進出が相次いだ。研究所は地元フライブルク大の学生を研究助手として数多く受け入れ、人材育成にも力を入れている。村田文雄副知事は「ドイツの例を参考にし、郡山市の二大拠点を核に産業集積、人材育成を図りたい」と語った。(郡山本社報道部副部長・斎藤靖)