東日本大震災アーカイブ

突然の調査、住民反発 中間貯蔵施設候補地

原発の廃炉工程の新聞記事に目を通しながら「仕方ない」と語る斎藤さん

環境省が中間貯蔵施設建設の候補地に挙げた町に連絡せず、突然現地調査を始めたことに、候補地がある大熊、双葉、楢葉の3町の住民は「地元を軽視しているのか」と反発の声を上げた。佐藤雄平知事は建設受け入れとは別として調査受け入れを表明しているが、住民には「建設ありき」を懸念する人も。一方、本県復興へ向けた最優先課題の除染に施設は不可欠として「やむを得ない」と判断する町民もおり、思いは複雑だ。住民は"強硬手段"に出た国の動向を注視している。
 「町長選が行われてている最中に、黙って調査を始めるのはおかしい」。双葉町からいわき市の仮設住宅に避難している農業、斉藤宗一さん(63)は憤りをあらわにした。
 10日に投票が行われる双葉町長選では中間貯蔵施設の建設が争点の一つになっている。住民の判断が出ていない中での調査開始に、国の地元軽視とも取れる姿勢を感じたという。「このまま建設まで進めるのではないか」。国の対応に強い不安を口にした。
 会津若松市で避難生活を送る大熊町の渡部隆繁さん(63)は40年以上にわたって農業を続けてきた。自宅と田んぼが建設候補地になる可能性があり、先週、環境省に現地調査について尋ねたところ、まだ始まらないと回答された。古里の復興のためには犠牲になるしかないとの思いも持っていたが、国の強行に「法律に違反していないなら何をしてもいいのか。やり方がおかしい」と反発した。
 「悔しいけど仕方ない」。会津若松市の仮設住宅に暮らす大熊町の無職斎藤絹子さん(68)は、東京電力福島第一原発の現状を掲載した新聞に目を通し、ため息をついた。自宅は福島第一原発から約3・5キロ。国が示した中間貯蔵施設の建設候補地に当てはまる。
 震災前は家族7人が一緒に暮らしていたが、今は県内で離ればなれの生活を強いられている。大熊町への中間貯蔵施設の建設は「賛成」ではないが、福島復興のためには「断固反対」はできないと苦しい胸の内を打ち明ける。
 国は30年以内に中間貯蔵施設の廃棄物を県外の最終処分場に搬出するとしているが、建設場所は決まっていない。将来が見通せないだけに「賠償と仮設住宅を出た後の生活拠点の早期整備が建設する条件」と強く訴えた。
 双葉町から福島市の仮設住宅に避難する大塚正樹さん(52)は調査開始の報告を聞き「覚悟はしていた」と目を閉じた。双葉への帰還は難しいと感じており中間貯蔵施設ができなければ、除染が進まないことに理解を示す。「一日でも早く復興を実現するためには、しょうがない」と語った。

■「帰れなくなるのか」
 楢葉町上繁岡から、いわき市の仮設住宅に避難する無職三橋トシ子さん(68)は、除染推進のため中間貯蔵施設は必要と理解を示すが、「町内に施設が建設されれば帰れなくなってしまうのでは」と心配する。
 親族の町内にある水田は仮置き場として提供しており、除染廃棄物が山積みになっていた。仮置き場の廃棄物をなくすためには施設の早急な整備が必要だと考えている。避難指示が解除されれば、古里に戻りたいと思っているが、政府の用地取得に伴い帰還を断念しなければならなくなることへの不安もある。

カテゴリー:福島第一原発事故