東日本大震災アーカイブ

今を生きる 苦難乗り越え歩む 卒業前、町長に感謝の言葉

感謝の言葉を伝える池田君

■大熊中3年・生徒会長 池田慧生君 15
 大熊中3年で生徒会長の池田慧生(けいせい)君(15)は卒業式を控えた12日、渡辺利綱大熊町長を表敬訪問し、全町避難の中で教育環境整備に力を注いでくれたことに感謝した。同校は、町役場出張所が置かれた会津若松市の旧会津学鳳高校舎の2階で、町役場とともに2年近く過ごしたが、4月に市内の別の場所に移転する。
 同校は東京電力福島第一原発事故の約1カ月後、町役場出張所の2階を校舎として再開した。しかし、手狭でグラウンドや体育館の利用に制限があるため、会津大短期大学部の隣接地に仮設校舎を建設して移転する。
 町長室を訪れた池田君は「(震災当時は)中学校がどうなってしまうか不安だったが、授業や部活、学校行事を震災前に近い形で行うことができた。再開してくれた先生、町、会津若松市、全国の人、そして町長に心から感謝します。これからの人生を、未来を見詰め、苦難を乗り越えながら精いっぱい歩みます」とお礼を述べた。
 これに対し渡辺町長は「思うような中学校生活を送れず申し訳なかった」と述べ「皆さんはそんな中でもしっかり頑張った。過去は変えられないが未来は自分たちでつくれる。会津で得た貴重な経験を糧に、夢を持って頑張って」と激励した。
 池田君は母親と市内の借り上げ住宅に2人暮らし。福島高専に進学するのに伴い、4月からは仕事でいわき市に住んでいる父の元に引っ越すという。幼いころから地震研究者になるのが夢で、震災後、その思いは強くなったという。「今も地震で亡くなる人は多い。災害を少しでも軽減させる役に立ちたい」と話していた。
 表敬訪問には小野田敏之校長、鈴木茂副町長が同席した。
 池田君は13日の卒業式でも卒業生を代表してあいさつする。

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