東日本大震災アーカイブ

【南相馬 再編1年】 古里必ず取り戻す 無人の駅前、花植え 撤退35事業所が再開

JR小高駅前で花の手入れをする小林さん=12日午後3時ごろ、南相馬市小高区

 東京電力福島第一原発事故に伴う警戒区域の解除から1年を迎える南相馬市小高区の中心街は、まだまだ人影が少ない。だが、自由に立ち入ることができるようになったことで、かつての古里を取り戻そうという住民の姿が見られるようになった。避難区域の設定に伴い相次いで撤退した市内の事業所も、10日までに35事業所が再開し、復興への歩みを進めている。

■4代目、前を向く
 原発事故前は通勤や通学する人の姿であふれていたJR常磐線小高駅前。駅前で旅館を営んでいた小林友子さん(60)は、いつかこの場所に人々が戻る日を信じ、花を植え続けている。
 小林さんは戦前から続く老舗旅館「双葉旅館」の4代目おかみだ。今年3月に入り、小高駅長の許可を得て、駅前近くの住民とともに植え込みやプランターへの植栽を始めた。避難先の市内原町区の仮設住宅から駅前に通いながら、パンジーやポピーなど、自ら購入したり、知人から譲り受けたりした花を育て、無人の駅前に彩りを添えている。
 東日本大震災の津波は旅館まで押し寄せた。泥などをかき出したが、上下水道などのインフラの復旧は進んでいない。それでも小林さんは今夏、旅館の内装を改修し、平成26年春までに客を迎える準備を整えるつもりだ。「何もしないのは性に合わない。前を向く人が少しでも増えれば、この町もまだまだ捨てたもんじゃないと思うけどね」

■従業員の希望
 総合厨房(ちゅうぼう)機器製造販売のタニコー(本社・東京都品川区)は8日、約2年ぶりに市内小高区の工場の操業再開に踏み切った。従業員の住宅の確保や工場の整備など準備を進め、福井県や北海道の工場に配置転換していた従業員約90人が戻った。
 同社の担当者は「地元で働きたいという従業員の希望に応え、再開を目指していた。避難区域の再編から1年に間に合って良かった」と話した。
 先月から今月10日にかけて、あぶくま信用金庫(本部・南相馬市原町区)小高支店、小高郵便局なども相次いで再開し、住民が集う拠点となっている。

カテゴリー:3.11大震災・断面