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【汚染水対策】汚染水貯蔵綱渡り タンク増設時期前倒し

 東京電力福島第一原発内で増え続ける汚染水が廃炉作業に影響を与えている。原子炉建屋に流入する大量の地下水が原因で、東電は汚染水をためるタンク増設をはじめ、多核種除去設備(ALPS)稼働、地下水対策を取るが、それぞれに課題が立ちふさがり、展望は開けない。4月には切り札とした地下貯水槽の漏水が見つかり、汚染水の適正管理は喫緊の課題となった。政府も対策に乗り出したものの、事態を打開できる兆しは見えない。原発事故に対応するため、応急的に配備された設備の不具合も相次ぐ。今後、約40年とされる廃炉作業は早くも難題にぶつかっている。


 福島第一原発は、1〜3号機の原子炉にある溶けた核燃料を冷やすため、水を循環させている。冷却水は放射性セシウムや塩分を取り除いて再利用するが、原子炉建屋などには地下水が1日約400トン流れ込み、冷却水と混じって、放射性物質を含む汚染水が増え続けている。これらの汚染水を原発敷地内で保管するのが、地上タンクと地下貯水槽だった。

 原発の敷地内にある貯水タンクは大型でも容量は約千トン。これに対し、地下貯水槽の容量は2千トンから1万4千トンと大きく、総容量は約5万8千トン。東電は貯水槽を汚染水保管の「切り札」として考えていた。しかし、汚染水漏れの相次ぐ発覚で、貯水槽の使用を断念した。

 東電の地上タンクの増設計画は、現在約33万トンの保管総容量を今年9月までに45万トン、平成27年9月までに約70万トンに増やすとしていた。貯水槽の使用断念を受けた緊急対策として、増設時期をできるだけ早めるとしている。地上タンクについて「設置スペースの確保はできている」とする。

 東電は今月7日までに、1、2号貯水槽の汚染水を地上タンクに移送し終えた。しかし3号貯水槽、6号貯水槽の汚染水を受け入れる地上タンクは、敷地南側に増設中だ。容量500トンの施設38基とする計画で、移送開始は早くても今月後半になりそうだ。

 さらに、東電は新たな漏えいなどのトラブルに備え緊急用として、建設が比較的容易な小型タンクの増設作業を7日から開始した。容量110トンを6基、42トンと35トンをそれぞれ57基(総容量4千トン)の整備を急いでいる。

 ただ、増え続ける汚染水を受け入れるタンク容量を、安全を維持しながら確保できるのか不透明だ。

 同原発5、6号機の北側には、7、8号機の建設予定地がある。タンクの整備場所として検討すべきとの指摘があるが、担当者は「距離があり、移送中の漏えいが心配」としている。実際、4月11日には3号貯水槽から6号貯水槽に汚染水を移した際にポンプと配管の接続部から水漏れが発生している。

 抜本的な対策が示せない東電は、汚染水の緊急時の受け入れ先として、冷温停止中の5、6号機の圧力抑制室を挙げるなど、綱渡りの状態が続く。

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