東日本大震災アーカイブ

古里絆より強く 顔合わせ活動充実へ 双葉町役場いわき開所 「つながりなくさない」

いわき事業所の開所式で出席者と談笑する岡田さん(右)。いわき・まごころ双葉会の活動の充実を目指す

■いわき・まごころ双葉会 会長岡田常雄さん(81)

 双葉町からいわき市常磐関船町に避難している住民の自治会組織「いわき・まごころ双葉会」会長の岡田常雄さん(81)は17日、市内に開所した町役場仮庁舎「いわき事務所」を万感の思いで見詰めた。東京電力福島第一原発事故から2年3カ月余。会員は例会を通して、絆を保っているが、役場機能が県外だったため、活動の幅を広げるのは難しかった。「古里に帰還する日は必ず来る。町民のつながりをなくしてはいけない」。町民の結束を強めていくつもりだ。
 岡田さんの自宅は、福島第一原発から約3キロの双葉町前田にある。事故後、川俣、二本松、いわき、猪苗代、郡山の市町での避難生活を強いられ、昨年5月にいわき市の借り上げ住宅に落ち着いた。
 いわき市内の公民館講座で市民と交流する一方、町からの避難者と会う機会は少なくなった。長引く避難生活によって町民のつながりが日に日に薄れていくのを感じた。
 行政区長ら4人が設立準備を進めていた「いわき・まごころ双葉会」の話し合いに加わった。同じように4人は町民の絆が失われていくことに危機感を持っていた。1月の設立総会で会長に就いた。
 いわき市内に居住する町民に声を掛け、口コミで会員は現在、約102世帯の約120人にまで増えた。2カ月に1回例会を開き、講演会や音楽鑑賞などを企画している。顔を合わせて情報交換することが参加者の楽しみとなっている。会の活動を通して地域コミュニティーを守り、目に見えない避難生活の疲れを癒やすのが活動意義だ。
 「苦労して避難生活を送る町民がもっといる」。町民の交流の輪を広げたかった。しかし、何かと頼りになる町役場は遠く離れた埼玉県加須市にあった。町職員とのやりとりは電話が多く、町社会教育連絡協議会長などの役職で加須市の会合に出席した合間に訪問するのがやっとだった。
 いわき事務所ができたことで、会員拡大に向け、町への相談がしやすくなると期待する。町の置かれている現状、復興への課題...。町職員と膝を詰めて話し合いたいことは山ほどある。町職員の協力を受けて健康体操など講座の内容も充実したいと思い描く。「活動の魅力がアップすれば会員も増えるはず...。町民の気持ちを1つにして、古里に帰る日を待ちたい」
 会は今夏、市内平で開かれる平七夕まつりに飾りを出品する予定。今後は、いわきのイベント情報も町から得て、市民との交流も一層深めたいと考える。「避難先で仲良く、生き生きと暮らしていくための方策を、町と一緒に考えていきたい」。希望を胸に、今後を見据える。

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