東日本大震災アーカイブ

汚染水、海に拡散か 第一原発

 東京電力福島第一原発敷地内の井戸や港湾内の水から高濃度の放射性物質が検出されている問題で、原子力規制委員会は10日の定例会合で、汚染水の海への拡散が強く疑われるとの見解をまとめた。田中俊一委員長(福島市出身)は「具体的に原因を明確にし、最優先での対策が必要」とし、原因究明と対策を検討する作業部会を設ける方針を示した。規制委は汚染源の特定を急ぐとともに、汚染水の海洋流出を防ぐ海側遮水壁の設置工事の早期完了などを東電に求める。
 会合では、田中委員長ら委員が2号機タービン建屋海側の観測用井戸で放射性物質が高濃度で検出された問題について協議した。東電によると、観測用井戸で9日に採取した水の放射性セシウム濃度は、セシウム134が1リットル当たり1万1000ベクレル、セシウム137が2万2000ベクレルで、いずれも前日より上昇した。5日採取の水と比べると、それぞれ約111倍、約105倍に上がっていた。
 さらに、3日に港湾内で採取した海水から、トリチウムとしてこれまでの最高値の1リットル当たり2300ベクレルが検出されるなど上昇傾向を示している。こうした状況から「高濃度の汚染水の地中への漏えいが生じ、海洋への拡散が起こっていることが強く疑われる」との見方でまとまった。
 東電は原因について、平成23年4月に2号機近くにある作業用の穴から漏れた高濃度の汚染水が地中に染み込んでいるためと説明していた。しかし、規制委は、作業用の穴の周辺よりも遠い場所の地下水が高濃度のトリチウムを含んでいたことから東電の説明に「疑問がある」と指摘。汚染源を早急に特定する必要があるとした。
 作業部会は、廃炉作業の安全性を監視する特定原子力施設監視・評価検討会の下に置く。メンバーの人選は今後、詰める。
 田中委員長は「環境への影響を調査し、データを蓄積することが大事。食物連鎖を含め環境や人への影響を評価できるようにしなければならない」と述べ、汚染源の特定と対策の他、放射性物質の海洋生物への移行状況も調査対象とする方針を示した。
 規制委は高濃度の汚染水があるとされている海側トレンチ(地下トンネル)が汚染源の可能性があるとみている。東電にトレンチ内の汚染水の濃度低減や抜き取り作業の早期実施とともに、26年度完成予定の海側遮水壁の前倒しを促す。観測用井戸周辺の地盤を薬液注入によって固める地盤改良対策についても早期完了を求める。
 田中委員長は定例会合後の記者会見で「(原発事故後)海洋汚染は大なり小なり続いている。できるだけ海に出さないよう手だてを尽くすことが重要だ」と強調した。

カテゴリー:福島第一原発事故