東日本大震災アーカイブ

「文化財・地域づくり」文化財「救出」進む 保存方法が課題 個人所蔵品の対応急務

「まほろん」敷地内に仮保管されている被災地の文化財。温度や湿度など管理環境はしっかり整えられている

 地域の生活や歴史を伝える文化財は、住民の心のよりどころだ。東日本大震災の地震や津波で多くの有形文化財が壊れた。東京電力福島第一原発事故で立ち入りが制限された避難区域では劣化が進む。運び出しが始まったが、保存方法が課題となる。伝統芸能など無形の文化財の継承も重要だ。津波や原発事故による被災者は、経験を県内外の人に語り始めた。地域の現状を伝え、後世に残す。

 本県の被災文化財をめぐっては、原発事故の影響がいまだ大きな影を落とす。避難区域の文化財をどう守り、受け継いでいくかが問われている。震災と原発事故発生直後、住民が避難した市町村では、残されたままの有形文化財の劣化が懸念された。関係機関で救援本部が組織され、文化財の"救出"が続く。資料を記録する作業も行われている。

 富岡、大熊、双葉の三町では平成24、25両年度に歴史資料館などから町外に搬出する作業が進んだ。2935箱分あった文化財のうち、2874箱(97・9%)を運び出した。その多くは白河市の県文化財センター白河館「まほろん」敷地内に作られた仮の保管施設に収められている。担当者は温度や湿度の管理、害虫駆除など細心の注意を払い、大切な文化財を守る。浪江、楢葉両町などは町内の施設で管理している。

 ただ、搬出された文化財は今のところ、市町村の施設にあったものに限られる。ふくしま歴史資料保存ネットワーク代表の阿部浩一福島大行政政策学類准教授は「個人が自宅などで所蔵していた文化財への早急な対応が必要」と指摘する。

 古文書や考古資料、古美術だけでなく、手紙や本、掛け軸、写真なども地域の歴史や文化を伝える大切な資料だ。阿部准教授は「今回の震災で全て消えてしまうかもしれない」と危惧し、「どこに何があるのかを把握し、『レスキュー』を必要としているのかどうかの情報をまとめないといけない」と話す。

 被災地から搬出した文化財の活用も今後の課題だ。「まほろん」では被災地の資料を展示している。

 「まほろん」の担当者は「文化財は地域の暮らしの歴史そのもの。古里を忘れないためにも展示をしていきたい」と意義を語る。

 恒久的な展示施設の必要性を求める声も高まっている。阿部准教授は「地元の文化財に触れることで、そこに住んでいた自分を再確認できる。一時的な展示ではなく、地域再生のために活用していくことが大事だ」と訴える。

カテゴリー:震災から3年