東日本大震災アーカイブ

電力買い取り中断で国に要望へ 県と県議会、復興に悪影響を懸念

 東北電力が再生可能エネルギー固定価格買い取り制度(FIT)に基づく、電力買い取り契約手続きを1日から中断する問題で、県と県議会は近く、政府に中断の早期解除や送配電網の増強などを緊急要望する。県は東日本大震災と東京電力福島第一原発事故発生後、再生可能エネルギー推進を本県復興の重点施策に位置付けており、手続き中断による復興への悪影響を懸念している。

 県議会は1日の9月定例会最終日の本会議で、安倍晋三首相や小渕優子経済産業相らに宛てた意見書を可決する予定。30日の常任委員会で意見書に関する議案の追加提出を決めた。
 意見書では、送配電網の増強のほか、電力会社間での送配電網の広域運用強化、余剰電力を有効活用する揚水発電や、発電した電気をためる蓄電池による電力需給の調整力確保を求める。発電施設の整備などに既に着手した業者に不利益が発生しないよう経過措置も要望する。
 可決した意見書は平出孝朗議長が週内にも小渕経産相に提出する方向で調整している。
 県も近く、経産省などに対し、同様の内容を要望する方針。さらに大学教授らで構成する県再生可能エネルギー導入推進連絡会にFITに関する専門部会を新設し、対応を検討する予定だ。
 政府は今年4月に改定したエネルギー基本計画で「福島の再生可能エネルギー産業の拠点化の推進」を盛り込んだ。ただ、送電網の容量の逼迫(ひっぱく)や需給バランスの崩れで停電する恐れがあるとして、各電力会社が買い取りを中断する動きを広げている。これを受け政府はFITの抜本改定に着手しているが、先行きは不透明だ。
 緊急要望を決めたのは、県や県議会が県内原発の全基廃炉を求め、再生可能エネルギー関連産業の推進により復興を進めている現状がある。県再生エネルギー関連産業推進研究会の加盟企業・組織は、平成24年7月の発足時には約300団体だったが、今年8月末には、6割増の約500団体が加盟している。企業立地補助金を活用した再生可能エネルギー関連企業の新増設も9月末までに29社となり、雇用面も踏まえ、再生可能エネルギー関連産業は本県の復興推進に大きな役割を果たしている。

■東北電中断発表再開後「出力限度」設定も
 東北電力は30日、県庁で記者会見を開き、再生可能エネルギーの電力買い取り契約手続きを1日から中断すると正式に発表し、手続き再開後、企業と新たに契約を結ぶ際に出力限度を設ける可能性を示した。
 同社は安定供給を前提として受け入れ可能な容量を計算し、容量を超えないように発電出力の限度を設定する契約などを検討する。送電網の出力調整機能を高めることも考えるが、抜本策には時間がかかる見込み。契約手続き再開までの検討期間は「数カ月程度」とした。
 10月からの中断対象は太陽光、水力、地熱、バイオマスの出力50キロワット以上の発電施設。送電網への接続の申し込みは引き続き受け付けるが、可否の回答を保留し、契約しない。家庭や小さな商店、工場の50キロワット未満の太陽光などは、契約を続ける。風力は受け入れ可能な出力200万キロワットに達した後で、同様に制限する。
 同社は売電を検討している事業者への説明会を7日に仙台市で開く。会見に臨んだ土屋信敏福島支店副支店長は「品質の安全性を考えると手続きを中断するしかない」とした。
 買い取り制度の導入後、同社管内で国が新たに認定した再生可能エネルギー設備の出力は6月末で1172万キロワットあり、うち1087万キロワットが太陽光。需要が低い今年5月の最大電力(平日平均)の970万キロワットを大きく上回り、日照量や風速が急変した際に、停電に陥る懸念があるという。ただ、実際に発電を開始したのは72万キロワットになっている。