東日本大震災アーカイブ

【震災から4年6カ月】「福島の今」 復興へ着実な歩み 漁業・農業・観光

試験操業でウニを水揚げする漁業関係者(上)=7月、いわき市。袋詰めされた早場米を機器で検査する関係者(下)=8月、二本松市

■漁業 試験操業64魚種に拡大 沿岸の主力、依然対象外
 
 東京電力福島第一原発事故を受け、全面休漁となった本県沖での試験操業は4年目に入った。今年7月にはいわきの名産・貝焼きの原料となるキタムラサキウニの漁が解禁になるなど、対象は64魚種まで増えてきた。ただ、震災以前の沿岸漁業の主力魚種だったヒラメをはじめ、クロダイ、アイナメなど国の出荷制限を受ける29魚種は依然として対象外だ。
 平成26年度の試験操業による漁獲量は700トンだった。震災前の約2万5千トンのわずか3%にとどまる。
 県漁連は、東京電力福島第一原発から20キロ圏内に設けている試験操業の自粛範囲を縮小することも検討している。野崎哲会長は「試験操業での水揚げ額を震災前の7割程度に戻せるよう、努力していきたい」と話している。
 試験操業は、相馬双葉漁協が24年6月に相馬沖で、いわき市漁協が25年10月にいわき沖でそれぞれ始めた。県の放射性物質検査で複数回、放射性セシウムが食品衛生法の基準値(1キロ当たり100ベクレル)を下回るなど安全性が確保された魚種を試験操業の対象に加えている。
 
■農業 セシウム検査厳格に 27年産米全て基準値以下
 
 平成27年度の県産農産物の放射性セシウム検査は7月末までに9569点を調べ、野菜・果実、原乳、肉類、鶏卵、牧草・飼料作物の全てで食品衛生法の基準値(一キロ当たり100ベクレル)以下となっている。
 26年産米の全量全袋検査では、1100万7079袋を調べ、福島市飯野町青木の農家が自家用として生産した二袋から食品衛生法の基準値を超える放射性セシウムが検出された以外は基準値以下だった。基準値を超えた二袋は市場に流通していない。
 27年産米は9月1日時点で3080袋を調べ、全て基準値以下となっている。
 
■観光 DC効果9割まで回復
 
 県内で4月から6月まで繰り広げられた大型観光企画「ふくしまデスティネーションキャンペーン(DC)」期間中の観光客数は1332万1667人に上り、同期間の入り込み数では東日本大震災以降で最多となった。震災と原発事故前の平成22年と比較すると、約9割まで回復した。
 震災後の最多はこれまで、NHKの大河ドラマ「八重の桜」放映と東北六魂(ろっこん)祭の効果で約1324万人を集客した25年だった。今回はさらに約8万人上回った。とうほう地域総合研究所は経済波及効果を約295億円と試算した。
 一方、教育旅行や外国人観光は依然として原発事故の風評の影響を受けている。26年度に修学旅行やスポーツ合宿などで県内に宿泊した子どもの数は35万704人で、前年度に比べ3万2086人(10・1%)増えた。ただ、震災前の21年度の70万9932人に対しては49・4%となっている。

カテゴリー:震災から4年

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