東日本大震災アーカイブ

【震災から5年】「避難区域再編」 鍵握る生活基盤整備 南相馬、葛尾、川俣の3市町村 今春解除目指し準備

住民の生活を支える南相馬市小高区の東町エンガワ商店。日用品、食料などがそろっている


 ■南相馬 準備宿泊を再延長 小高区 仮設店舗オープン
 
 4月中の避難指示解除を目標としている。帰還開始に向けて、昨年8月末から準備宿泊が始まっている。当面は2月末までの予定だが、政府は解除時期まで再延長する方針を示している。
 避難区域の除染については昨年12月末時点で宅地75%、農地31%、森林50%、道路26%となっている。環境省によると、生活圏の除染については解除時期までに完了する見通しという。
 小高区では昨年9月、食料品などを扱う仮設店舗「東町エンガワ商店」が開店。避難指示解除に向け、徐々に生活基盤が整いつつある。
 
 ■富岡 29年4月の帰還目指す 町、複合商業施設を開設へ
 
 早ければ平成29年4月の帰還開始を目指している。町内の復興拠点の曲田・岡内地区を中心とした地域で住民生活に不可欠な施設整備を加速している。
 既存の「富岡ショッピングプラザTom-とむ」の施設を買い取り、改装して複数の民間業者に貸し出す形で複合商業施設を秋以降に開設する。主要テナントにはヨークベニマル(本社・郡山市)とダイユーエイト(本社・福島市)が決まった。
 4月には町内で災害公営住宅建設に着手する。秋には町立診療所も開所させ、内科診療開始を目指す。
 
 ■双葉 潮堤や防潮林整備へ 両竹、浜野年度内に除染完了
 
 全町避難が続く双葉町は町のほとんどが帰還困難区域で、帰還時期のめどが立っていない。避難指示解除準備区域内の両竹、浜野地区では除染を進めており、今年度中に完了する予定だ。平成30年度までに防潮堤、32年度までに防潮林を整備、同地区を復興の足掛かりとする。
 帰還困難区域でも、JR双葉駅西側の除染実施が決まった。常磐自動車道双葉インターチェンジ(仮称)は31年度の供用開始を目指している。
 
 ■浪江 29年3月帰町開始目標 インフラ復旧、町営で診療所
 
 平成29年3月の帰町開始を目指している。インフラについては津波被災地を除く上水道は同時期までに復旧予定で、避難指示解除準備区域の下水道も同様に復旧を目指す。
 町内では帰町時期に合わせて開業予定の町営診療所の整備が始まっている。町民の帰還と復興を推進する「交流・情報発信拠点施設」を町役場北側につくる計画も進めている。
 除染対象地区の実施率は昨年12月末時点で宅地34%、農地36%、森林47%、道路67%となっている。
 
 ■大熊 企業誘致進め復興促進 太陽光発電施設を新設
 
 居住制限区域の大川原地区を復興拠点に位置付け、企業誘致などを進めている。
 昨年12月には常磐自動車道西側に大熊町ふるさと再興メガソーラー発電所(福島発電運営)が完成し、稼働を始めた。東側には年内にも20メガワット出力の太陽光発電所が建設予定だ。
 東京電力の福島給食センターの東側には廃炉関係の業務に当たる東京エネシスの事業所が進出する。完成後は一部が非常時の町民の避難場所になる。
 町は4月に窓口機能を持つ事務所を設置する方針。「大川原地区だけでも避難指示が解除されれば、復興はさらに加速する」と部分的な解除を期待する町関係者も少なくない。
 
 ■飯舘 避難解除来年3月まで深谷に交流拠点
 
 遅くとも来年3月までに、帰還困難区域を除いた村内全域の避難指示を解除する目標を掲げている。
 環境省による直轄除染の実施率は昨年12月末時点で宅地が100%、農地が50%。年内中には全ての除染作業が終了する見通しとなっている。村は居住制限区域の深谷地区に災害公営住宅や道の駅を備えた生活や交流の拠点施設を整備している。平成30年度以降に完成する予定だ。
 
 ■葛尾 農業倉庫や住宅建設 4月、村役場の業務再開
 
 今春の帰村開始を目標に掲げている。昨年8月末から居住制限、避難指示解除準備の両区域で準備宿泊が始まっている。当面は2月末までの予定。3月以降は解除時期も含めて政府と協議する。
 4月1日には村役場で全ての業務が再開する。葛尾村商工会に加盟する事業者の多くが村内での営業再開を前向きに検討している。一方、建設業者の人手不足や資材不足で被災住宅や店舗の解体、新築、リフォームなどが遅れているため、村民の帰還時期に遅れが出る可能性もある。
 村は帰還後の中心拠点として落合地区に復興交流館や農業倉庫などを整備する計画を進めている。周辺部の高齢者世帯向けの村営住宅も着工し、平成28年秋の完成を目指す。
 
 ■川俣の山木屋 宅地、農地除染ほぼ終了 飲料水の井戸無償で新設
 
 今春以降の避難指示解除を目指しており、帰還に向けた準備宿泊が行われている。宅地や農地の除染はほぼ終了した。町は飲料水の確保を重要施策とし、希望した175世帯に井戸を無償で新設している。1月21日現在、終了したのは65世帯。残りは3月末までに終える。
 避難指示解除準備区域の山木屋地区中心部に建設する復興拠点の商業施設は来年春にオープン予定。
 
 

カテゴリー:震災から5年