東日本大震災は発生から五カ月。被災者の避難所から仮設住宅などへの転居が本格化している。初盆を前に、肉親を失った人々は悲しみを新たにしている。一方、東京電力福島第一原発事故による特定避難勧奨地点は伊達市に加え、南相馬市と川内村にも拡大した。古里に帰れる日はいつになるのか。不安を抱えながらの生活が続く。
県の調べでは7日現在、東京電力福島第一原発周辺の市町村を中心に13市町村の8489人が県内の旅館・ホテルなどに二次避難している。先月6日現在と比べると、約1カ月間で6494人減少した。仮設住宅や借り上げ住宅に移行している。
市町村別の二次避難者数は浪江町民の2293人が最多で、避難先は猪苗代町967人、北塩原村512人など。他に南相馬市民1915人、大熊町民1398人などが二次避難している。
一方、県内の体育館や公民館などの一次避難所で暮らしている避難者は7日現在の県の調査で1134人。先月6日現在と比べ1664人減少し、半数以下になった。仮設住宅などに移っている。福島市のあづま総合体育館の避難者が298人で最多となっている。
県は仮設住宅の建設や民間借り上げ住宅確保が進んでいることを踏まえ、今月末で一次避難所と二次避難所の開設を事実上終了する。ただ、学校や職場の事情で移動できない場合に対応し、二カ月の猶予期間を設け、10月末には全面閉鎖する方針だ。
避難所で暮らす被災者は生活再建に向けて前向きに受け止める一方で、「自立した生活ができるのか」などの不安の声も上がっている。人気の民間借り上げ住宅は既に空きが少なく、多くが「キャンセル待ち」の状況で、現在、一次、二次避難所にいる避難者の希望にどの程度まで沿えるかも不透明だ。
さらに、二次避難所となっている県内の旅館・ホテルの一部では、原発事故の風評被害で客足が落ち込んでいる中、避難者が退去した後の経営悪化への懸念も広がっている。
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