政府は16日にも原子力災害対策本部を開催し、東京電力福島第一原発事故の収束作業工程表の「ステップ2」終了を決める見通しとなった。政府は避難した住民の帰宅に向け、放射線量を目安に警戒区域や計画的避難区域の見直し作業を本格化させる。
一方、東京電力は6日、福島第一原発で高濃度汚染水を処理した後に淡水化する装置から汚染水が漏れ、放射性物質のストロンチウムなどを含む汚染水約150リットルが海に流出したと発表。汚染水の浄化装置が停止するトラブルも起きており、原発が安定している状態だとは言い切れないのが現状だ。
政府は、1~3号機の原子炉圧力容器底部の温度が百度以下で、原発の敷地境界での被ばく線量が年間一ミリシーベルト以下を冷温停止の条件と定義していた。1~3号機の燃料は安定して冷え、放射性物質の新たな外部放出が抑えられているなど、「ステップ2」で目標とした原子炉の冷温停止状態となり、その維持が可能と判断した。政府が「年内」としていた「ステップ2」の終了時期を達成する。
政府と東電は、第一原発の廃炉に向けた中長期的な工程表をまとめ、2年以内をめどとした使用済み燃料プールからの燃料取り出しなど、収束作業は新たな段階に入る。
(カテゴリー:震災から9カ月)