緊急時避難準備区域が解除された南相馬、川内、広野、楢葉、田村の5市町村では、住民の帰還に向けた除染の取り組みが本格化している。
南相馬市は11月下旬に新たな除染計画を策定した。早ければ平成24年2月にも、市内で比較的線量の高い西側の地区から面的な除染を開始する。26年3月末までに警戒区域と計画的避難区域を除く、住宅や事業所など約4万6千戸を対象に実施するほか、農地は29年3月末の完了を目指している。市民からは1日も早い線量の低減化を望む声が多いが、除染作業に伴う仮置き場の確保など課題は山積みだ。
来年3月の帰還を目指す川内村は小中学校、保育園の除染を先行して実施し、今月中旬からは民間住宅の除染に向けたモニタリングを始める。民間住宅の本格除染は比較的線量の高い村の南部地域を先行し、年明けから実施する。降雪時期となるため、工程表では来年1月下旬から2月中旬までの約4週間、作業が中断する。天候が除染作業の進ちょくに影響しそうだ。
広野町は今月から除染対策、建設、産業の3つのグループを町役場に戻し、除染や復旧・復興業務に当たっている。年内に除染計画を策定し、年明けから本格的な除染活動に入る見通し。
楢葉町は楢葉南工業団地の除染作業が、来年2月まで国のモデル事業で実施される。
田村市は来年3月までに旧緊急時避難準備区域の学校や公共施設、通学路などの除染や復旧の完了を目指している。
市内都路町など旧準備区域の除染対策費として約1億1千万円を確保。区域内の学校や幼稚園、公共施設、通学路などの除染作業の民間業者への委託料に充てる。11月には市内の建設業者らを集めた独自の除染講習会を開催。早ければ年内にも発注する。
除染で出る土壌などの仮置き場については、都路町石黒地区の国有林を候補地とし、地元説明を続けている。
(カテゴリー:震災から9カ月)