東日本大震災アーカイブ

集落分断、怒る市民 原町区大原

 「何でこんなことになったんだ。政府の方針が理解できない」。南相馬市原町区大原で新たに特定避難勧奨地点の指定を受けた60代の農業男性は悔しさにこぶしを強く握った。

 震災後、家族で川俣町や仙台市など県内外に避難した。4月末に自宅に戻ったが、次女と3歳の孫は線量の高い家を出て宇都宮市に避難していった。数カ月に一度、遊びに来る孫は自宅を離れるころになると「帰りたくない」と泣く。その度に男性はやり場のない怒りに胸を痛ませる。

 指定を受けた世帯と受けていない世帯が混在する地域は住民同士のつながりを失いつつある。男性は「集落は分断された。汚染された地域の先が見えない」。

カテゴリー:震災から9カ月