東日本大震災アーカイブ

スキー場の安全 発信し続ける 線量計測、HPに掲載

 「今シーズンの状況が今後の運営の鍵を握る。今までの集大成のつもりで、お客さまを迎えてほしい」。7日、猪苗代町の猪苗代リゾートスキー場で行われた今年の安全祈願祭で、上石辰裕総支配人は言葉に力を込めた。
 同スキー場では、例年、隣接するホテルを利用し訪れていた中学・高校など19校のうち15校が今年の利用を取りやめた。7月から都内をはじめ、関東圏の旅行代理店などを回り、誘客に取り組んでいる。今月は県内客の呼び込みにも努め、中通りの企業300社以上を訪問し、社員旅行の誘致を図った。上石総支配人は「この地域の安全性を発信し続けることが重要」と話す。
 先月27日に今季営業を開始した北塩原村のグランデコスノーリゾート。担当者が毎日、スキー場内の放射線量を計測し、ホームページに掲載している。「毎時0.09マイクロシーベルト」。問題のない数値と分かっていても、ほっとするという。昨年までは見られなかった光景だが、利用者に目で安全を確認してもらうため、必要と判断した。
 猪苗代町、磐梯町、北塩原村などの商工会でつくる磐梯高原商工会広域連携協議会の一ノ瀬正一会長は「スキー場を含むこの地域の空間放射線量は問題がない。ただ、本県から離れれば離れるほど、県外住民にこの状況が伝わっていない。国が正しい情報をきちんと発信しなければ、好転の兆しは見えないだろう」と訴える。

カテゴリー:震災から9カ月