東日本大震災

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復興託す大正ロマン 地元連携し計画始動 街活性化へ再生 東京の建築家ら協力

大正ロマンの館のがれきの撤去に励む関係者

■矢吹の被災洋館
 東日本大震災で大きな被害を受けた矢吹町の駅前商店街で、大正時代の洋風建築物「大正ロマンの館」を再生するプロジェクトが動きだした。町は、地震で解体の危機にあった施設の保存に向けて所有者との話し合いを始め、住民団体や東京都内の建築家、大学教授らが改修や活用へ知恵を出す。商店街では多くの建物が震災後に取り壊されており、関係者は「町の復興のシンボルに」と期待している。

 大正ロマンの館は大正9(1920)年に造られた「屋形医院」の建物で、商店街の通り沿いに立つ。木造2階建てで、板張りの白亜の外観にワシをかたどったレリーフが据えられ、格調高い雰囲気を醸し出す。県の近代化遺産にも挙げられている。
 再生プロジェクトは町中心市街地復興協議会や町商店会連合会が町と連携して進める。所有者の理解を得て改修が実現した際は、館内に町民らが集うカフェを開いたり、町内の病院の案内機能などを設けたりする青写真を描いている。
 屋形医院は昭和40年ごろ無人になり、町商工会が「施設を商店街の活性化に生かそう」と平成7年、「大正ロマンの館」と名付けた。数年前までは夜間のライトアップなどをして商店街をもり立ててきた。
 震災で町内全世帯の半数を超える約3500戸が損壊し、中心商店街でも店舗や建物の取り壊しが相次いだ。大正ロマンの館も壁が崩れ、土台がずれるなどして解体が取り沙汰されていた。
 建物の向かいで老舗酒蔵の大木代吉本店を営む大木雄太さん(43)の知人で建築家の野上恵子さん(東京)が関心を持ち、東京大生産技術研究所の腰原幹雄、村松伸両教授に保存への協力を依頼して快諾を得た。先月29日には町中心市街地復興協議会、町商店会連合会、東京大生産技術研究所のメンバーら35人が参加し館内のがれきの撤去に励んだ。
 野崎吉郎町長は「所有者と話し合いを進め、何らかの形で保存し、活用できないかを検討していきたい」と話す。
 大正ロマンの館の玄関脇の案内板には「風雪に耐え大正、昭和の一世紀近く、時代を見つめてきたこの館を町民の心のよりどころとして...」と記されている。協議会の橋本秀也会長(伸和建設社長)は「震災の打撃で閑散としているまちに、再び元気を取り戻すきっかけにしたい」と願っている。

カテゴリー:連載・再起2012

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