東日本大震災

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運転再開 宙に浮く 夏の電力不足懸念の中 金山・第二沼沢発電所

 昨年夏の豪雨被害から復旧した金山町の東北電力第二沼沢発電所(出力46万キロワット)の運転再開が地元の反対で宙に浮いていることが13日までに分かった。町や住民側は発電用のダムが只見川の氾濫を引き起こしたと主張。再発防止策も不十分として再稼働に応じない構えを見せる。東北電力は水害とダムの因果関係はないとしており、話し合いは平行線のままだ。同発電所は需要のピーク時に電力を供給する役割を担う。夏場の電力不足が懸念される中、同社は引き続き地元理解に努めたいとしている。
 第二沼沢発電所はくみ上げた水を調整池に落とすことで発電する揚水式で、豪雨災害では水管に土砂が入り込む被害に遭った。昨年12月に復旧作業が完了し、再稼働できる状態になったものの、町は「豪雨災害で只見川が氾濫したのは東北電力が町内の只見川に設けた発電用のダムが関係している」と強調。長谷川律夫町長は「他のダムを含め、具体的な安全対策が示されていない以上、運転再開は容認できない」としている。
 河川の氾濫で大きな被害を受けた住民の間には、不安感も広がっている。町民有志による「被災者の会」の斎藤勇一会長(元金山町長)は「東北電力の安全対策が見えない。豪雨で再び被害が起きるのではないか」と懸念を示す。
 これに対し、東北電力は「災害はダムが原因ではない」との見解を示す。同社などが設置した第三者委員会も「未曽有の出水が原因で電力会社に瑕疵(かし)はなかった」と結論付けているという。
 運転再開に際し、法的には地元の了承は不要だが、同社は地域住民らの理解を得て稼働させる考え。国、県と連携して只見川の護岸改良や川底の堆積土砂の除去強化などを進める方針を町や町議会、町内の行政区長に説明するとともに、地区住民への戸別訪問を続けている。
 東北電力は今夏の電力需給見通しで、8月の電力供給力を1475万キロワットとし、この中に第二沼沢発電所の46万キロワットを組み入れている。宮城県の女川原発と青森県の東通原発の運転が停止している中、今夏が平成22年並みの猛暑になった場合、節電しなければ8月のピーク時に供給予備率がマイナス0・6%となり、電力不足に陥る恐れがあるとの見通しを示す。
 第二沼沢発電所が稼働しない場合、ピーク時の電力供給力が低下するのは必至とみられる。同社は「一日も早い運転再開に向け、安全対策に万全を期して住民の理解獲得に努めたい」としている。
 第二沼沢発電所以外で東北電力が只見川に設けている水力発電所は、6カ所とも豪雨で浸水などの被害を受けた。このうち片門(会津坂下町)を除く5カ所はいずれも復旧には至っていない。

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