東日本大震災アーカイブ

カエルかわうち 平伏沼で産卵開始

新緑に包まれた平伏沼で泡状の卵塊を作るモリアオガエル

 東京電力福島第一原発事故の苦難を乗り越え、帰村宣言した川内村で、村のスローガン「かえるかわうち」に用いられているモリアオガエルの産卵が始まった。
 繁殖地として国の天然記念物に指定されている村内の平伏(へぶす)沼では8日、水面に張り出した木の枝に雄と雌が一緒に登り、粘液を泡立てた直径10センチほどの卵塊を作る姿が見られた。
 沼は旧緊急時避難準備区域にある。村は毎年、産卵状況を記録してきたが、昨年は原発事故の影響で調査できなかった。現在、沼周辺の平均空間放射線量は毎時0.55マイクロシーベルト。村のモリアオガエル巡視員の八巻力さん(76)によると、今年は5日に11個の卵塊を確認した。産卵は明け方の場合が多く、「これから気温が上がれば産卵が増えてくる」と話している。