■本宮に避難の浪江町民 「みんなでいっしょに踊り隊会」
胸に手を当てる所作が、抑えきれない悲しみと古里への強い思いを表現している。浪江町の詩人・作詞家根本昌幸さんが作詞した望郷の歌「ふるさと浪江」に付ける踊りの振りが完成した。本宮市に避難している浪江町民で「みんなでいっしょに踊り隊会」を結成し、2日、初めて合同練習に臨んだ。練習を重ね、8月15日に同市で開かれるしらさわ夏まつりでお披露目する。
白沢赤十字奉仕団員の吉田正子さん(61)らが6月初旬、同市の石神第一仮設住宅を訪れ、「ふるさと浪江」の歌詞を目にしたことがきっかけだった。感銘を受けた吉田さんらが、団員で藤波流寿舞踊会大師範の佐藤カネ子さん(72)に振り付けを依頼した。
快諾した佐藤さんは、誰でも踊れるように簡単な振り付けを考えた。「被災者の心情を考えると涙があふれた。切なさと故郷に帰りたい気持ちを表した」と話す。
初練習は白沢公民館で行い、浪江町民約40人が参加した。佐藤さんら藤波流の3人が指導した。「ふるさと離れ 遠くへきたよ ふるさとはいい けれど帰れない」。参加者は曲と踊りに思いを乗せて、一生懸命に練習している。練習は、普段顔を合わせることのない他の仮設住宅の住民と交流できる貴重な機会ともなっている。
踊り隊の事務局長を務める同町の青山和子さん(63)は「心の復興を1人1人がしていかなければならない。心を合わせてみんなで一緒に踊り、古里は絶対に忘れない」と話している。
(カテゴリー:連載・今を生きる)