東日本大震災

「連載・今を生きる」アーカイブ

  • Check

今を生きる 幸せ願い喜びの舞 郡山の仮設住宅「えびす講市」笑顔で大黒舞披露

笑顔で大黒舞を披露する渡辺さん

■富岡からいわきに避難 渡辺長一さん65

 「よ!待ってました!」。詰め掛けた富岡町民から威勢の良い掛け声が掛かる。富岡町の無職渡辺長一さん(65)は、七福神の大黒様に扮(ふん)し、右手に打ち手の小槌(こづち)、左手に扇を持って、満面の笑顔で舞を繰り広げた。
 渡辺さんは16歳の時にテレビで山形大黒舞を見て「なんて幸せそうな踊りだろうか」と感動。すぐに出演していた山形県天童市の団体を訪ねた。「末広がり」の八の字を描く足さばきを中心に舞の指導を受け、その後、扇でも八の字を描く独自のアレンジを加え、地元の祝い事などで披露していた。
 東日本大震災と東京電力福島第一原発事故で避難し、今は、いわき市の借り上げアパートで妻と長男の3人で暮らしている。知人から舞の依頼もあったが、「喜びの舞」だけに慎んでいた。震災から1年が過ぎた今年4月、「これからは悲しみの年でなく、幸せの年にしなければ」と練習を再開し、再び舞を始めた。
 25日には郡山市富田町にある富岡町の仮設住宅敷地内で開かれた「ちっちゃなえびす講市」で披露した。えびす講市は富岡町恒例の行事で、毎年楽しみにしていた祭り。途中で、思いが胸に込み上げて息苦しくなり、面を外して笑顔で踊りきった。
 「多くの喜ぶ顔を見て、思わず古里を思い出した。来年は大黒舞を始めて50年目。1人でも多くの人が幸せになれるよう精進を続ける」と節目の年を前に誓っていた。

カテゴリー:連載・今を生きる

「連載・今を生きる」の最新記事

>> 一覧

東日本大震災の最新記事

>> 一覧