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賠償額、上積みへ 住宅建て替えや家屋土地取得

 文部科学省の原子力損害賠償紛争審査会の能見善久会長(学習院大教授)は22日、東京電力福島第一原発事故による避難者の住宅再建に必要な費用の賠償を新たに検討する方針を示した。現状の財物賠償(家屋・土地)に、荒廃が進んだ家屋の解体や建て替え費用、移転先での家屋土地の取得に見合う額を上積みすることなどを視野に入れ、賠償の範囲や額を定めた指針を見直す。7月にも審査会で議論を始める。
 22日、福島市の福島ビューホテルで審査会を開き、能見会長と委員8人が佐藤雄平知事や避難区域を抱える市町村長らから原発事故による損害の現状について説明を受けた。
 小動物の侵入や雨漏りで荒廃が進んだ家屋の解体や建て替えの費用を賠償に盛り込むべきとの意見に対し、能見会長は「(地元に)戻って生活する人にとって十分な賠償になるように検討したい」と前向きに受け止めた。
 さらに、現行の賠償額では避難先での新たな家屋土地の取得が困難であるとの指摘については「審査会として再建築できる賠償が望ましいという指針を出しているが、実際に運用されるようにしたい」と回答。避難先などで家屋土地を取得するために必要な額が賠償として支払われることの必要性を認めた。
 現在の財物賠償(家屋・土地)の基準は、価値喪失や減少分を対象としており、中間指針第二次追補で示された。「居住用の建物は、同等の建物を取得できるような価格に配慮する」とされている。
 しかし、実際には築45年余りの家屋の場合、賠償額が数百万円と算定されたケースがあった。算定額は県内の住宅新築単価に比べ低く、同様の住宅の購入が困難になっているという。
 審査会の県内開催は昨年1月に続き、2回目。能見会長をはじめ、委員8人、丹羽秀樹文部科学政務官が出席した。終了後、丹羽政務官は「被災者の生活支援に向け、賠償だけでなく、政策面でどのようなことができるかにも取り組みたい」と決意を語った。能見会長は避難区域の精神的賠償についても、財物賠償見直し後に協議する意向を示した。
 能見会長らは審査会に先立ち、市内の除染廃棄物の仮置き場などを視察した。

■原賠審 生活再建の加速期待
 原発事故により、田村、南相馬、川俣、楢葉、富岡、川内、大熊、双葉、浪江、葛尾、飯舘の11市町村が避難区域を抱えている。事故から2年3カ月余が経過し、避難区域の家屋の荒廃が問題になっていた。
 関係者は財物賠償の上積みにより、避難住民の生活再建が加速する可能性があるとみる。県の鈴木淳一原子力損害対策担当理事は「指針の見直しにつながるものと期待している」とした。

※財物賠償 家屋・土地の賠償は原子力損害賠償紛争審査会の中間指針などに基づき、東電が支払っている。避難区域再編後、1年が経過するごとに賠償額が上積みされる。避難指示が解除されるまでに5年以上かかった場合は、事故前の価値の全額を一括賠償する。土地は係数を掛け、家屋は築年数などから算出する。固定資産税評価額が300万円の土地と平成19年に建築された固定資産税評価額861万円の例は【図】の通り。帰還困難区域の場合、土地429万円、家屋2282万円。

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