本県は医療関連や再生可能エネルギー産業などの集積を目指す。本県のものづくりについて、星春男県商工労働部長(57)に現状や今後の取り組みなどを聞いた。
―本県には、医療機器関連企業が集積している。
「大手をはじめ、医療機器製造許可企業が59社ある。これらの企業による平成24年の生産額は1089億円で全国の都道府県で4位となっている。本県に医療関連産業の集積が進む理由として、県内の関連企業から、医療機器製造に求められる根気強さや真面目さなど本県の県民性が評価されている点が大きい。医療分野は、高齢化社会を迎えた近年、成長分野・成長産業として注目を集め、国の成長戦略でも重点分野に位置付けられている。県は17年度から『うつくしま次世代医療産業集積プロジェクト』をスタートさせ、震災後には、医療関連産業集積を本県復興に向けた重点プロジェクトとした。拠点施設として整備を進めている『県医療機器開発・安全性評価センター』や『ふくしま国際医療科学センター』によって、集積を加速化させる」
―世界的な医療機器関連産業の集積地、ドイツのノルトライン・ウェストファーレン州(NRW州)との連携も進んでいる。
「佐藤雄平知事が24年に欧州各国を訪問した際に連携が始まった。これまで共同セミナーの開催や展示会への相互出展などを展開してきた。今年2月には同州の経済大臣が本県を訪れ、覚書を年内をめどに締結することで合意した。本県の医療関連産業を海外にさらに売り込む足掛かりにしたい」
―再生可能エネルギーも本県復興の柱だ。
「震災から3年を迎え、これまでの取り組みが形になってきている。楢葉沖では昨年11月、浮体式洋上風力発電の実証試験が始まった。今月末には、産業技術総合研究所(産総研)と連携協定を結び、県内企業への技術支援や人事交流、人材育成等に共同で取り組む。NRW州とは再生可能エネルギー分野で既に覚書を締結しており、共同研究などを展開する」
■略歴
ほし・はるお 棚倉町出身。白河高、東京都立大(現首都大学東京)経済学部卒。昭和54年、県職員採用。東京事務所長、観光交流局長などを歴任。
(カテゴリー:震災から3年)