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帰還の動き本格化 都路1日避難指示解除 事業再開わずか

 東京電力福島第一原発事故に伴う田村市都路町の避難指示解除準備区域は4月1日午前零時、避難指示が解除される。避難指示の解除は第一原発から半径20キロ圏に設定された旧警戒区域で初めて。警戒区域設定から約3年ぶりに生活上の制約がなくなり、住民は古里再生への一歩を踏み出す。市は6日に都路町に仮設商業施設を開設する。ただ、地元で再開した事業所は一部にとどまる。帰還を望む住民の生活支援は解除後も欠かせない。
 同市都路町に住民登録をしているのは約1000世帯、約3000人。原発事故直後に東部が警戒区域、残りの20~30キロ圏が緊急時避難準備区域となった。警戒区域は平成24年4月に避難指示解除準備区域に再編され、緊急時避難準備区域は23年9月に解除された。避難指示解除準備区域で住民登録をしているのは2月末現在、117世帯、357人だが、全員が避難生活を送っている。国による除染は昨年6月に終了した。8月からは登録すれば寝泊まりできる特例宿泊が行われ、今年3月は27世帯、90人が申し込んだ。
 都路町では道路などが復旧し、市営診療所も再開している。国は社会基盤の復旧や除染の終了などを受け、3月10日の原子力災害対策本部会議で解除日時を決めた。今後は商業施設の開所や小中学校の再開など帰還の動きが本格化する。
 一方、暮らしを支える産業の再生は道半ばだ。原発事故発生前の22年度に都路町商工会に加盟していた会員89事業所のうち、避難先での業務再開を含めれば約8割が事業を始めている。しかし、都路町で業務を再開した生活に関わりの深い事業所はガソリンスタンドや理容店など5、6事業所。自由に居住できる旧緊急時避難準備区域でも住民の帰還率は3割にとどまっており、採算が取れないのが再開する事業所の増えない要因だ。渡辺辰夫会長(61)は「今回の避難指示解除を機に、旧緊急時避難準備区域も含めた都路全体の復興を進める意識が必要だ」と訴える。
 農業は、原発事故発生から3年が過ぎ、営農意欲が減退している農家への経営的助言や精神的な支援が課題だ。農地の除染は終わっているが、営農再開を迷っている農家は少なくない。
 避難指示解除準備区域の農家は事故前、64戸あった。昨年は3戸がコメの作付けをし、放射性物質は未検出だった。今年は十数戸に増える見込み。
 交通環境の回復も避難指示解除後の課題となる。都路町の東部は山間部に位置する。浜通りへの大動脈だった288号国道は東隣の大熊町との境で、通行を制限される状態が続く。住民の一部は沿岸部に買い物や医療を頼っていた。避難前と比べた不便さから、帰還をためらう声がある。
 賠償では、避難生活を支えてきた精神的苦痛に伴う賠償(月10万円)が終了した後、生活を維持できるかが住民の不安材料だ。精神的賠償は解除後1年で終了する。1年以内に戻った人を対象とした早期帰還者賠償(一律90万円)は制度の詳細が住民に示されていない。
 安倍晋三首相は11日の記者会見で都路の避難指示解除について「古里を取り戻すスタートにすぎない。帰還した人が古里で安心した暮らしを取り戻すまで、私たちの取り組みは終わらない」と力説した。政府は財源をはじめ、幅広い側面から住民や市の動きを支える姿勢が求められる。

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