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輝く若手杜氏の技 本県新酒3年連続日本一

酒造業界を盛り上げたいと語る矢内さん

■県清酒アカデミーOB こだわり切磋琢磨
 「日本一の酒どころ」の名を揺るぎないものにした。平成26酒造年度の全国新酒鑑評会で3年連続最多金賞受賞となった県内の蔵元は20日、喜びに沸いた。味にこだわり、先人の技をさらに高めようと励む若い杜氏(とうじ)の努力が実を結んだ。日本酒ブームの中、各蔵元が全国に示した福島のものづくりの力は、東日本大震災と東京電力福島第一原発事故からの復興へ大きな弾みとなりそうだ。

 県酒造組合が運営する県清酒アカデミー職業能力開発校を卒業した若い杜氏が本県蔵元の快挙に大きく貢献した。卒業生は座学や実習などで酒造りの知識や技術を高めてきた。
 古殿町の豊国酒造杜氏の矢内賢征(けんせい)さん(29)は卒業生の1人だ。早大卒業後、平成22年に180年の歴史がある実家に戻った。県清酒アカデミー校で3年間学んだ。25年に簗田博明さん(74)=岩手県=から杜氏の座と南部杜氏の技術を受け継いだ。
 初めて出品した昨年の全国新酒鑑評会で金賞を受賞、今年も伝統の「東豊国」の味を守り、蔵元として9年連続の金賞を勝ち取った。
 コメの出来を見極め、酒の搾りの時期を早めて口当たりを良くするなど工夫を凝らした。「試行錯誤しながら自分なりの酒造りをしている。若手が酒造業界を盛り上げて、本県を元気にできれば」と力を込めた。
 天栄村の松崎酒造店杜氏の松崎祐行さん(30)も県清酒アカデミー校の卒業生で、「廣戸川」を出品し4年連続金賞に輝いた。「本県が(金賞受賞数で)3連覇を果たしたことが何よりもうれしい。技術指導に汗を流してくれる先生や蔵人の皆さんに感謝したい」と笑顔を見せた。
 代々続く蔵元の6代目。23年に26歳で杜氏となり、24年に初めて手掛けた「廣戸川大吟醸」が金賞を受賞した。
 矢内さんとは良きライバル関係にある。「互いに切磋琢磨(せっさたくま)して、さらに高みを目指したい」と誓った。

■初出品で栄誉
 「弥右衛門」で金賞を受けた喜多方市の大和川酒造店杜氏の佐藤哲野さん(30)も県清酒アカデミー職業能力開発校を巣立った。杜氏として初出品し、栄誉をつかんだ。「江戸時代から続く伝統を守りながら、新しい味にも挑戦したい」。若い感性を生かした酒造りへの意欲がさらに高まった。
 佐藤さんは225年続く蔵元の次男として生まれた。専修大を卒業後、平成21年に実家の大和川酒造店に入社した。
 知識はなく、一からの酒造り。関連図書を読み、先輩杜氏から手ほどきを受け知識と技術を身に付けた。
 昨年10月、杜氏となった。鑑評会に出品する酒の仕込みは6年前から携わってきたが、杜氏としては今回が初めての大舞台。最高製造責任者としての重圧を受けながらも、自家栽培したコメの品質などにこだわり、結果を残した。「喜多方や福島県の品質の高さを証明できた。これからもおいしい酒を造っていきたい」と前を見据えた。

■本県の日本一 過去10年で5回
 過去10年間の本県の金賞受賞銘柄数と都道府県別順位の推移は【グラフ】の通り。本県は平成24年度の26銘柄を最多に毎年、20銘柄近くの金賞を獲得している。都道府県別順位は1位か2位となっている。

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