世界最大規模となる浮体式洋上風力発電の実証研究事業が楢葉町の沖合約20キロで進んでいる。出力7000キロワット、同5000キロワット、同2000キロワットの風車3基を整備し、発電効率などを検証する。
既に出力2000キロワットの風車一基は変電施設(サブステーション)とともに稼動し、東北電力に売電している。
二基目となる高さ約190メートル、羽根の長さ約80メートルの風車は小名浜港で建設され、7月に楢葉沖に運ばれた。出力は7000キロワットで、試験運転を行った上で実証運転を開始する。一般家庭約6000世帯分の年間使用量を賄う。
実証研究事業は平成23年に復興事業としてスタートした。経済産業省が約500億円の事業費を投じ、丸紅などの企業や大学でつくる「福島洋上風力コンソーシアム」に事業運営を委託している。
当初は出力7000キロワットの風車をもう一基建設する予定だったが、多彩な実証データの獲得を目指すため計画を変更。今後、出力5000キロワットの風車を建設し、今年度中に楢葉沖へ運ぶ。
コンソーシアムによると、3基が稼動すれば年間の発電量は約1万2000世帯分の年間使用量に相当する。現時点で実証研究事業の期間は来年3月までとなっている。コンソーシアムは「国や漁業者との話し合いを進め、実用化に向けてデータ収集を継続していきたい」としている。
7月末、現地で2基目の設置作業が報道陣に公開された。小名浜港から小型船で約2時間。陸地は見えない。海上に巨大な風車が表れた。この日は海底から伸びるアンカーチェーン8本を風車に取りつける作業の一部が行われた。間近では1基目が海上の風を受け、勢いよく回っていた。
(カテゴリー:震災から4年)