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制度に揺れる(3) 「いつまでここに」 みなし仮設 公営住宅化認めず

 「いつまでここにいられるのか」。浪江町の避難指示解除準備区域から福島市の借り上げアパート(みなし仮設住宅)に避難する無職栃本光子(80)は住み慣れた部屋でため息をつく。
 山形県や仙台市の親族宅を転々とし、平成23年4月に現在の避難先に落ち着いた。ここでの生活も間もなく丸5年を迎えるが「強制退去もあるのだろうか」と不安を募らせる。
 みなし仮設住宅は災害救助法に基づき、プレハブ型の仮設住宅と同様に扱われ、現在の入居期限は29年3月までとなっている。それ以降の方針は決まっていない。
 栃本は災害公営住宅への入居をためらい続ける。高齢のため、新たな場所で生活を始めるのは負担が大きい。何よりも、愛猫と暮らせる住宅が限られている。現在のアパートを災害公営住宅として認めてもらえないかと望む。


 宮城県石巻市はみなし仮設住宅の災害公営住宅化を検討している。しかし、県避難者支援課の担当者は「長期避難が想定される原発事故では現実的に難しい」との見解を示す。原発災害のため入居期間の見通しが立てにくく、家主との契約手続きが難航する恐れがあるためだ。
 みなし仮設住宅は主に民間住宅となっている。「家主の個人的な都合で、ある日突然、退去を余儀なくされる場合が想定される」(県避難者支援課)とし、「安定的な居住環境の提供」という公営住宅の概念を満たさないとしている。
 災害救助法を所管する内閣府によると、みなし仮設住宅の災害公営住宅化に関する法律や制度は存在せず、対応は県や市町村任せとなっているのが現状だ。


 「5年前にできた傷口に貼ったばんそうこうを今も使い続けている状態」。日弁連東日本大震災・原子力発電所事故等対策本部事務局次長を務める弁護士の津久井進(46)=兵庫県=は災害救助法での対応が既に限界を迎えているとし、原発事故に特化した新たな法整備の必要性を強調する。特に原発事故の避難者の長期的な住宅確保を担保する法律の新設が急務だと主張する。
 ただ、震災と原発事故の複合災害が生み出した制度の壁は居住面に限ったことではない。
(敬称略)

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