2人の2年生が聖地で躍動した。9日に甲子園球場で行われた第104回全国高校野球選手権大会1回戦で、聖光学院の高中一樹選手は逆転の2点本塁打、三好元気選手がダメ押しのソロ本塁打を放って鮮やかな逆転勝ちに貢献した。アルプススタンドには学校関係者や保護者らが詰めかけ、熱戦を繰り広げる選手に大きな拍手を送った。
■本塁打、好返球 高中一樹、三好元気選手
窮地を救うビッグプレーが試合の流れを変えた。1-2で迎えた5回、日大三の1死3塁の場面で、三好選手が右翼に飛んだライナー性の打球を取ると、すぐさま本塁に送球。ワンバウンドの好返球で3走を刺し、失点を防いだ。ベンチ、スタンドの応援団が沸いた。
直後の攻撃で、2死2塁の好機に高中選手が打席に立った。「三好がいい流れをつくってくれた」と奮起した。真ん中高めの直球を振り抜くと、打球は浜風に乗り左翼に飛び込んだ。高校で初の本塁打が殊勲打となった。
三好選手も続いた。8回、「俺もやったろう」と打席に入ると、左翼にソロ本塁打。貴重な追加点となり、勝利を大きく引き寄せた。
2人とも冬場に筋力を増やすために練習に取り組んだ。高中選手は食事の量とスイングの数を増やし、強い体をつくった。体重は昨夏から7キロ増え、力強さを手に入れた。三好選手も坂道ダッシュで下半身を鍛え、ウエートトレーニングによって筋肉量を増やした。地道な努力が実を結び、聖地での活躍につながった。
斎藤智也監督は「まさか2年生の本塁打で試合を決めてくれるとは」と目を細めた。赤堀颯主将(3年)も「2人に助けてもらった。次は3年生が引っ張りたい」と感謝した。
2回戦は全国屈指の激戦区・神奈川大会を勝ち抜いた横浜が相手だ。高中選手が「先輩と長い夏を過ごすため、負けるわけにはいかない」と意気込むと、三好選手は「守備、攻撃両方で攻める姿勢を忘れずに戦いたい」と表情を引き締めた。成長を続ける2年生コンビが、チームの大きな力となる。
■応援団、仲間を後押し 黄色のメガホン揺れる
3塁側アルプススタンドでは、聖光学院の応援団の黄色いメガホンが揺れた。5回に高中選手の2点本塁打で逆転すると、盛り上がりは最高潮に達した。
8回にソロ本塁打を放った三好選手の父聖(たかし)さん(35)は「まさかこんなに活躍するなんて」と喜んだ。安斎文夫同窓会長は「わくわくする熱い試合だった」とたたえた。
関西県人会は3年ぶりに夏の選手権をスタンドで応援した。8人が駆け付け、選手を後押しした。平野景子副会長は「聖光学院の活躍を甲子園で見ることができてうれしい」と声を弾ませた。