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待ち望んだ復活劇 桃田選手(福島・富岡高出身) プライド捨て原点に 全日本総合バドミントン

2022.12.31 09:20
バドミントンの全日本総合選手権男子シングルスで優勝し、ガッツポーズで観客の声援に応える桃田選手
男子ダブルスで初の頂点に立ち、笑顔の保木選手(右)、小林選手

 東京都で30日に行われたバドミントンの全日本総合選手権決勝の男子シングルスでは桃田賢斗選手(28)=NTT東日本、福島県・富岡高出身=は2年ぶりに頂点へ返り咲いた。1次リーグで敗退に終わった昨夏の東京五輪以降続いていた不調から復活を遂げた。男子ダブルス世界ランキング2位で昨年の世界選手権で優勝した保木卓朗選手(27)、小林優吾選手(27)組(ともにトナミ運輸、同・富岡高出身)は重圧を乗り越え、全日本の舞台で初の栄冠をつかんだ。


 勢いよく前に出てシャトルを相手コートに押し込んだ。勝負を決めると大の字で倒れ込み、左拳を掲げて喜びを表した。「この1年苦しいことばかりだったが、納得のいく試合ができた」。目を真っ赤にして会場の声援に応えた。

 同級生で長年のライバルの西本拳太選手(28)=ジェイテクト=との対戦。強打を拾い、ネット前や奥のライン際に打ち分けた。かつて世界ランキング1位として君臨していた時の粘り強いプレーがよみがえった。第1ゲームは8連続得点を奪うなどして先取し主導権を握ると、第2ゲームも要所でクロスやスマッシュを打った。

 長く優勝から遠のいていた。金メダルが期待された昨夏の東京五輪の敗退以降、調子を崩した。今季はワールドツアーでも早い段階での敗退を繰り返し、8月の世界選手権は2回戦で姿を消した。世界ランキングは18位まで下がった。

 「もうきれいなバドミントンはできない。変なプライドは捨てよう」。過去のプレーを追い求めるのはやめた。今秋から国際大会を欠場。原点回帰し、国内で徹底的に得意の守備を鍛え上げた。

 2024(令和6)年パリ五輪への選考レースが来年から始まる。年齢を重ね、若手も次々と台頭する中、「まだ先のことは考えられない」と素直な思いを吐露する。それでも「桃田の時代は終わったとかインターネットなどで目にするが、終わりたくない。まだまだ強いところを見せたい」と貪欲な姿勢は変わらない。日本一を足掛かりに、真価が問われる一年に臨む。


■保木・小林選手組 4度目決勝で悲願

 4度目の決勝で悲願の日本一に手が届いた。富岡一中時代からペアを組む保木卓朗選手と小林優吾選手は優勝が決まると、互いに雄たけびを上げ、ガッツポーズを見せた。2人は「世界で活躍する上で、どうしても欲しかったタイトルだった」と声をそろえた。

 昨年、ツアー大会の「ワールドシリーズ」で年間王者に輝いた。それ以降、周囲から「国内では優勝して当たり前」との声も。プレッシャーを感じたというが、保木選手は「自分たちのプレーが出せれば、国内の選手には負けない」と手応えを感じていた。準決勝まで1ゲームも落とさず決勝に進出した。

 決勝は富岡一中、富岡高で1学年上の松居圭一郎選手(28)のペアと対戦した。「松居先輩は攻撃的な前衛の選手で手ごわい。身内同士の戦いは燃える」と小林選手。2人はシャトルに必死に食らい付く松居選手に対し、緩急をつけたプレーで揺さぶった。試合を通して連続ポイントで主導権を渡さず、終わってみれば、2-0の完璧な勝利だった。

 「次のダブルスを担うのはお前たちだ」。チームのオーナー、綿貫勝介トナミホールディングス社長が23日に死去した。亡き理解者の思いも背負い、来年からパリ五輪に向けた戦いが始まる。2人は「今回の日本一でさらに自信が深まった」と次の目標へ照準を合わせた。