聖光学院高(伊達市)は12日、来年4月に女子硬式野球部を設立すると発表した。福島県内の高校に女子硬式野球部ができるのは昨年春の学法石川高(石川町)に続いて2例目。男子硬式では県内屈指の強豪校に女子部が並び立ち、野球に励む県内の女子選手の受け皿が増える。関係者は身近に切磋琢磨(せっさたくま)できる環境を通し、野球文化の一層の広がりを期待する。
聖光学院高の女子硬式野球部の指導陣は女子プロ野球の元選手や野球指導の経験を持つ人材などから人選を進めている。県内外から希望者を募り、遠方からの入部者は福島市瀬上町に整備する専用寮で受け入れる。伊達市のほばら大泉球場や桑折町民運動場などを練習拠点とする。ユニホームは男子と同じ、青色と黄色を基調とした「おなじみ」のデザインを用いる。
発足後は、全国高校女子硬式野球選手権大会(兵庫県)など全国大会への出場を視野に、全日本女子野球連盟への加入を目指す。県北地方の小学生などを対象に部員による野球教室や体験会を開くなど、草の根の競技の普及にも取り組む。社会人クラブや大学でのプレー継続など卒業後の進路についても支援する。
12日は聖光学院高で記者会見が開かれた。女子部の発足準備を担当する入試相談室の遠藤直仁室長(67)は男子と比べて知名度の低い女子野球を広め、地域活性化の一助にしたいと創部の狙いを説明。「学法石川高と競い合いながら、女子野球の魅力を発信していきたい」と意気込みを語った。
今後は7月28日、9月2日、10月21日に開くオープンスクールで女子野球部の体験会を催す。新井秀理事長兼校長(78)は「地域に愛されるチームをつくりたい。エネルギーあふれる生徒の入部を待っている」と期待を口にした。
県内各地で活動する中学女子軟式野球チーム「福島アブレイズ」の林俊康監督(48)によると、近年、女子中学生向けクラブチームの発足が相次ぐなど県内でも女子野球界は盛り上がりつつある。同チームの水野心主将(14)=会津若松市、会津若松三中3年=は「高校に進んでも女子が野球に打ち込む場が増えるのはうれしい」と喜んだ。
■「刺激になる」学法石川主将
学法石川高は聖光学院高に先駆けて昨年4月に県内初の女子硬式野球部を創設した。石川町内に女子寮を置いており、現在はマネジャー1人を含む1、2年生17人が在籍している。鮫川村のグラウンドなどで練習に励んでいる。
県内の中学生チームと練習試合を組むことはあるものの、同じ高校生と実戦経験を積むには宮城、岩手両県など県外に対戦相手を求めるしかないのが現状だ。笠倉美咲主将(17)=2年生=は全体練習がオフだった12日、寮の前で仲間と自主練習に励んでいた。聖光学院高の女子硬式野球部の設立の話を聞くと「刺激になるし、うれしい」と声を弾ませた。
チームは昨夏と今春に全国大会に挑んだが、1勝もできずに敗退した。「全国で勝てるように、お互いを高め合いたい」。好敵手の存在が成長につながると期待し、バットを握る手に力を込めた。